「我が社の強み」に学ぶ、1回目 後編「株式会社トップテクノ」

外構工事全般を手がけ、「高付加価値提案」で売上実績を上げているエクステリア専門店をご紹介いたします。

第1回目は、YKK AP主催のコンテストで入賞経験もある、東京都杉並区の株式会社トップテクノ 代表の佐藤正和さんに「我が社の強み」について、お話をお聞きしました。

 

<会社紹介>

株式会社トップテクノ
代表 佐藤正和(さとう まさかず)さん

https://www.top-tecno.co.jp

 

創業27年を迎え、実績数3000件を誇る東京・杉並区のエクスリア専門店。

YKK AP主催の「2018年 エクステリア スタイル フォトコンテスト」エクステリアリフォーム部門に入賞するなど、多くのコンテストで受賞され、高い評価を受ける。

「敷地全体を住空間と捉え、オンリーワンを創りたい」をモットーとし、その施工数と口コミの多さからも、お客様満足度の高さがうかがえる。

 

【事業内容】

エクステリア部 外構工事:エクステリア工事 ガーデン工事等の設計・施工
建設部:土木、造成、解体工事
EC事業部:エクステリア商品、ガーデングッズ・ファニチャー、マリブライトの販売

 

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プロとして、お客様との信頼関係をいかに築いていくかが、
エンドユーザーとの仕事では大切なこと。

 「かゆいところに手が届く」プランで信頼を得る

−お客様との信頼関係を築くために、工夫されていることがあれば教えてください。

最初は世間話から始めて、いろんな話をするなかでお客様との信頼関係を築くようにしています。ときには、業界人としての私自身の思いを話すこともあります。「このメーカーは、最近商品開発に熱心に取り組んでいるから、最近よくお勧めしているんですよ」とか。理由を説明するとお客さまも納得されて、メーカーや商品に興味を持ってくれることもありますね。

また、お客様はそこまで考えていないという細かいところまで考えてあげることも私たちの仕事だと思います。例えば、水道の検診メーターが道路に近い位置にあれば、いちいち検針のたびに敷地内に入ってこられずにすみます。また、隣の家の窓に接しているところは目隠しを作ったほうがいいとか、ポストや表札は駅から家に向かう動線を考えて設置すると使いやすくなるとか、プロなら現場に行けば一目でわかるわけです。そうした「かゆいところに手が届く」プランは、お客様の信頼につながります。

−お客様にショールームを案内したり、活用することはありますか?

商品を選ぶときに、現物をご覧になりたいというお客様がいれば、ショールームへ一緒に見に行くこともあります。「YKK APショールーム新宿」はアクセスも便利で、館内もゆっくりと見られるとお客様にも好評です。ショールームならデザインや色、質感など、カタログではわからないことも実際に見て、触っていただけます。本当に納得してもらえてから進めることができるので、実は、事前に見ていただいたほうがこちらとしても安心なんです。もし思い描いていたイメージと違ったところがあれば、この段階なら調整もできますし。YKK APの商品については企業イメージもいいので、安心して選ばれるお客様が多いですね。

YKK APのエクステリア スタイル フォトコンテストを受賞した施工例と提案時のパース図

トップテクノは案件の“司令塔“。現場には毎日顔を出す

−受注後、現場にはどのくらい見に行きますか?

私もそうですが、トップテクノの場合、契約を取ってきた本人は、毎日一度は担当案件の現場に顔を出すようにしています。すでに売り上げが確定している案件に時間を割くのは無駄だと思うかもしれません。しかし、お客様が話をしたのはあくまでうちの社員なわけです。施工が始まったとたんにパタリと音沙汰がなくなれば、お客様にしてみれば、自分が話した内容が現場で作業をしている職人たちにちゃんと伝わっているのかどうか、なんとなく不安に感じるのではないでしょうか。

一方、現場の職人からすると「あとはよろしく」とばかりに乱暴に託されてしまったら、作業を進めるうちに最初の想定どおりにはいかないことが出てきても、多少のことなら自分たちの判断で進めてしまいがちです。ここで、万が一小さなミスでも起きればクレームにつながりかねません。とはいえ、職人の気持ちもわからなくはないのです。以前、私たちが工務店の下請けをやっていたときは、直接お客様と話せないので、工務店から指示を受けて作業していましたが、とてもやりにくかったのを覚えています。それでいて手数料はしっかり取られるわけです。工務店の担当者がエクステリアに詳しい担当ではなかったりするとなおさら、「ちゃんとした指示ももらえていないのに……」と複雑な気分になりましたね。

きちんとした施工をするためには“司令塔“が必要です。たとえ短い時間でも毎日現場に行くことで、お客様に安心してもらえるし、現場の職人にもにらみがききます。認識の齟齬があれば早めに軌道修正してミスの芽を摘むことができます。

外構から植栽までいろいろな段階でスムーズに作業を進めるためには司令塔が必要だと佐藤さんは言います

 

−職人との付き合いについては、なにか気を付けていることはありますか?

施工は過去の実績があるなど信頼できる方に依頼すると決めて、失敗事例を作らないようにしています。うちの強みは口コミでの集客ですが、裏を返せば、一度でも失敗事例を作って「あの会社はイマイチだった」という口コミが流れれば、あっという間に経営に影響が出てきますから。

ただ、職人のなかには、人付き合いがあまり得意でない方もいて、ぶっきらぼうな印象を与えてしまうこともあります。また、社会人経験が浅い若い職人はマナーが身に着いていなことも多く、過去には「タバコの吸い殻がブロックに中に入っていた」「現場でクーラーをかけるためにエンジンが掛けっぱなしでうるさい」といった苦情もありました。エクステリアの施工は屋外で作業をするため、お施主様だけでなくご近所や通行人など多くの方の目にとまりやすいんです。一度そうしたことがあると、どんなに職人としての腕が良くても依頼できなくなるため、マナーに関しては特に厳しく指導するようにしています。

また、職人の世界は、ご存じのとおり人手不足です。そこで最近では、外国人技能実習制度を利用してカンボジア人のスタッフも受け入れています。外国人実習生だからといって人件費は決して安くありませんし、言葉の壁もありますが、まじめで一生懸命に働いてくれる人にはこちらも精一杯のサポートをして技術を伝えようと考えています。これからは彼らの手を借りないと、現場はまわらないと思いますね。

手を抜かずに取り組めば、最終的にはお客様に伝わる。
「この会社に頼んでよかった」と思っていただくことがゴール。

−これまでに印象に残っている施工例を教えてください。

あるとき、ウェブサイトを見たお客様から「豪邸の対応ができる営業マンをよこして」と言われて、行ってみたら本当に大豪邸だったので、びっくりしたことがあります(笑)。お施主様は、大手メーカーの提案がピンとこなかったようで、うちに連絡がきたんです。それだけにこだわりも強く、80回以上は図面を描き直したと思います。まとまるまで1年がかりの案件でしたが、終わってみれば金額が大きく、内容的にもとてもやりがいのある案件でした。そのお客様とは今でもつきあいがあります。また、別の案件ですが、ご両親の家の外構を施工した数年後に、今度は息子さんご夫婦からご依頼が来たことがあります。うちの施工に満足された方がリピーターになってくれたり、別のお客様を紹介してくれたりするのは本当にありがたいですね。

−お客様の満足度が高く、リピーターが多い理由は何でしょうか?

手を抜かないからでしょうか。例えば、前回もお話をしたように、こだわりが強いお客様の場合は特に、要望通りに施工したほうがラクだと思ってしまいがちです。でも、ときにはプロの目から見ると「うーん、それはうまくいかないかも」と思うこともあるわけです。例えば、お客様が「ここに○○の木を植えたい」と言っているが、方角も日当たりも適していなくてすぐに枯れてしまいそうだとかとか、よほど手入れしないと1年後にはジャングルになりそうだとか……。しかし、ご本人はこだわってどうしてもやりたい。そんなときは、最終的にその通りにやることになったとしても、必ず一度はこちらの考えを説明

そういったお施主様は、その後、こちらの読みどおりの展開になると、どうしようもないので直してほしいと相談がきたりして、結局リピーターになってくれることが多いんです。私たちがきちんとした理由があって提案していることが、お客様にも伝わるんだと思います。単なる御用聞きになってしまったら、うまくいかなったときにお客さまには「あそこに頼んだけどダメだった」という印象を持たれるだけ。こちらも、「面倒なお客さまだったな」ということで、どちらにもメリットはありません。

結局のところ、次へとつなげるためにはいかに「ここの会社に頼んでよかった」と思ってもらえるかどうかが勝負です。特にうちの会社のような専門分野に特化したビジネスはその傾向が強いと思います。エクステリアはお客様にとって一生に一度か二度のことだからこそ、お客様を後悔させたり損をさせたりしてはいけない。もちろん自社の利益を確保したうえで、ですが。そうした当たり前のようでいて、なかなかできないことを、地道に頑なにやり続けることが、いま、実を結んでいるのかなと思います。

株式会社トップテクノの施工の一例

 

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