「我が社の強み」に学ぶ、3回目 前編「岡本ガーデン」

外構工事全般を手がけ、「高付加価値提案」で売上実績を上げているエクステリア専門店をご紹介いたします。

第3回目は、小売りの園芸店とエクステリア施工店を併設している大阪府柏原市の株式会社岡本ガーデン 代表の岡本 圭一郎さんに「我が社の強み」について、お話をお聞きしました。

<会社紹介>

株式会社岡本ガーデン
代表 岡本 圭一郎(おかもと けいいちろう)さん
https://www.okamotogarden.co.jp/

グリーンレンタル事業から始まり、現在では大阪・柏原市の2000坪を超える敷地に園芸店とエクステリア展示場を構えている。

エクステリア施工を始めてからまだ10年ほどだが、樹木や草花に関する豊富な知識と経験に裏打ちされた、植栽を生かすデザインが好評。

YKK AP主催の「2018年 エクステリア スタイル フォトコンテスト」エクステリアリフォーム部門で銅賞を受賞するなど、多くのコンテストの受賞歴もある。

【事業内容】

  • 造園工事外構工事・植栽工事
  • エクステリア、デザイン設計施工
  • ショップ事業
  • レンタルグリーン事業

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株式会社岡本ガーデン 代表・岡本 圭一郎さん

お客様の要望より、さらに2段階上の提案をするのがモットー
緑を生かした、庭で過ごす楽しさが感じられるような空間を作りたい

一般客が対象の園芸店と植栽を含めたエクステリア施工
2業態の相乗効果が業績アップにつながった

−造園、植栽を含めたエクステリア施工に加え、小売りの園芸店もやっていらっしゃいますが、どちらを先に始められたのでしょうか?

大阪・柏原市の高尾山にある岡本ガーデンの店舗兼展示場。 2000坪の広さがある。

園芸店の方ですね。実はもともとうちはレンタルグリーン事業を手掛けていたんです。その後、レンタルに使う植木の栽培施設を兼ねて、広く一般のお客様に草花や観葉植物、庭木を販売する総合園芸店を開業しました。これが平成5年(1993年)のことです。

ある時、愛知県に園芸店とエクステリア施工の両方をやっている会社があるという情報を聞き足を運んでみたところ、とても面白そうだなと感じました。実は私自身エクステリア施工の経験はなかったんですが、庭を作るということに純粋に興味を持ったんです。そこで、職人をしている友人や知人に教わりながら見様見真似で始めたのが、どんどん業績が伸び、今では売上の4分の3をエクステリア施工関連で占めるまでになりました。

実はやっているうちにわかってきたのが、エクステリアの施工店で植物のことをよく知っているところって、意外に少ないんですよね。そこで、植物の栽培経験があり、実際に多くの樹木や草花を扱っていることは、大きな強みになると気づいたんです。

−そうなると、依頼はそうした植栽のノウハウをもたない施工店からの外注もしくは委託ということでしょうか? それとも、エンドユーザーからですか?

9割が一般のお客様からです。新築ではなくリフォームということが多いですね。展示場が大阪と奈良のちょうど間くらいに位置しているということもあって、その2県からの依頼が半々で、だいたい車で一時間圏内くらいにお住まいがある方がほとんどです。ウェブサイトを見て見つけてくださった方や、知人のご紹介、また、園芸店に通っていただいていたお客様で、うちがエクステリア施工もできるということを知ってご依頼いただくこともあります。

心がけているのは、居心地の良いデザイン
樹木一本にもそこに配置する理由がある

−最近の傾向としては、エンドユーザーがウェブサイトを見て、直接依頼するというケースが増えているようですね。ご依頼される方の傾向などはありますでしょうか。また、岡本ガーデンではそうした方々に向けてどのようなウェブサイトづくりを工夫されていらっしゃいますか?

施工例をなるべくたくさん載せるようにしています。特に、岡本ガーデンの作る庭の特徴が伝わるようなものを選んで掲載しています。エクステリア施工を始めたばかりの頃は、チラシを配布などもしていて、幅広いお客様からの注文がありましたが、最近では実績もついてきてそうした宣伝はしていないため、ウェブサイトに掲載している庭のイメージが気に入った、わりとこだわりを持たれている方からの問い合わせが多いですね。年齢的には40代以上の、どちらかというと高収入世帯がメインです。

−ウェブサイトには、岡本ガーデンの特徴のひとつとして、デザイン力を挙げています。岡本ガーデンの考える良いデザインとはどういったものでしょうか?

景観(見た目)だけでなく、居心地の良さを追求したものです。建物との調和や配色、高低差のバランスなど外から見ている時はキレイなのに、そこに身を置くとなんとなく落ち着かないといった場合には、良いデザインとは言えません。たとえば、目に優しい緑があり、風にそよぐ木々の葉の優しい音を感じ、時間の経過とともに変わっていく光の表情を楽しみながら、いつまでもそこにいたいと思える空間。そんな庭を提案したいと思っています。

それには、やはり植栽の力というのはなくてはならないものなんです。緑があるとないとでは大きな差がでますが、それ以上に、適切に配置された植栽とそうでないものでは、かなり違ってきます。先ほど、植物のことをよく知っているエクステリアの施工店は少ないと言いましたが、他の施工店が一度作った庭をリフォームさせていただくと、「なぜ、ここにこの木を植えたのか?」と首をひねることもあります。

我々がデザイン画に木を描き込む時は、何でもいいからそこに緑が欲しいわけではありません。生活していくなかで、まぶしい直射日光を遮れるか樹種かどうか、成長していく過程でどのように枝や根が伸びるのか、季節を通してどういった姿になるか――そういうことを考えながら、1本1本配置していくわけです。それが、最終的な居心地の良さにつながります。面白いことに、「見た目は良くても居心地が良くない庭」はできますが、「居心地が良くて見た目が良くない庭」はできません。見た目も居心地のひとつの要素なので、居心地を追求すると、自ずと格好いいデザインになります。

株式会社岡本ガーデンの施工例

ヒアリング時には、お客様が庭で過ごす姿を想像する
言葉に表れない要望をすくい上げて提案するのが、プロの仕事

−まさに、「機能美」というものですね。ただ、居心地と一言で言っても、人によって感じ方が違うこともあります。庭に求めるものもそれぞれでしょうし……。

四季を通じてさまざまな楽しみができる庭を提案している

そうですね。ですからお打合せの際などには、どんなお庭にしたいか、お客様自身のご希望をお伺いするようにしています。といっても、細かいことを根掘り葉掘り聞くわけではありません。庭で子どもを遊ばせたいとかくつろげる庭にしたいといったような、漠然としたものです。そうした希望を叶えるためには、どこに何が必要かというのを提案するのが、我々の仕事だと思っています。

お子さんが庭遊びのなかで自然に対する好奇心が満たされるように、でも年齢がまだ小さいから怪我のないように凹凸は少なくしようだとか、ご夫妻はお仕事が忙しいと言っていたから、夜遅く帰ってきても樹木が眺められるように照明を付けたり、週末に緑に囲まれて食事ができるスペースをつくろうとか、そういうストーリーをこちらで考えるわけです。

お客様自身が言葉にできなかったけれどもなんとなく抱いていた希望を、こちらが汲みとってカタチにする。施工後のアンケートで、岡本ガーデンを選んだ理由を提案内容と言ってくださるお客様が多いのは、そうしたことが評価されているのだと思います。最近では、事前に色々と調べイメージを固めてこられるお客さまも少なくありませんが、その方たちにも、ご本人の想定以上の提案をするようを心がけています。目指すのは、ご要望の2段階上を行く提案です。

お客様の希望の2段階上を行く提案がモットーだと話す株式会社岡本ガーデンの岡本さん。次回は、価格交渉の秘訣とリピートを増やすアイデアを伺います。

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