「我が社の強み」に学ぶ、4回目 前編「株式会社アクティブ」

「高付加価値提案」で売上実績を上げている工務店をご紹介いたします。

第4回目は、外構やエクステリアのみならず新築物件の建設も手掛けている、
滋賀県野洲市の株式会社アクティブ 代表の上堂地 昭さんに、
「我が社の強み」について、お話をお聞きしました。

 

<会社紹介>

株式会社アクティブ
代表 上堂地 昭(かみどうち あきら)さん

http://active-ark.com/company.html

株式会社アクティブ 代表・上堂地 昭さん

平成11年設立後、滋賀県における外構・エクステリア工事ではトップクラスの受注数を誇る。

平成23年から新築物件の建設にも携わり、外構と建物を一体化させた暮らしやすい住まいを追求している。

大阪、京都にも支店があり、2019年には本社事務所の近くに新しく路面店もオープン予定。

 

【事業内容】

  • 建設工事の設計、監理、施行及び請負業
  • 土木工事の設計、監理、施行及び請負業
  • 建設資材の売買
  • 組み立てハウス及びバルコニー資材の販売及び据付工事
  • 造園の設計、監理、施工
  • 管工事業
  • コンクリートブロック工事
  • 下水工事業
  • 舗装工事業
  • 大工工事業
  • 屋根工事業
  • 板金工事業
  • 塗装工事業
  • 防水工事業
  • 水道施設工事業
  • 前各号に附帯または関連する一切の業務

 

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目ざすのは、外構業者だからこそできる機能面でもデザイン面でも優れた家
公共施設や企業の事務所など、新しいことにもどんどんチャレンジ

外構だけをやっていては限界がある
建物も庭も含めた空間をまるごと手掛けてみたかった

–御社では新築物件の建設も手掛けられていますよね? ハウスメーカーが外構やエクステリアも行うというのはよく聞きますが、逆のケースはあまりないのではと思います。

新築物件を手掛けるようになったのは7年ほど前からです。当時経営陣に迎え入れた社員から言われたんです。「外構をどれだけ突き詰めても、結局は建物に対してのデコレーションの域を出ない。家という“母体”が先に建っていれば、どうしてもそれに合わせざるを得ないから。社長のやりたい仕事とは、そういうことなんですか?」と。

言葉につまりましたね。でも、すぐに思ったんです。家を建てたいって。そこで早速建設業許可(建築一式工事)を申請しました。

–もともとそういう構想はあったのでしょうか。

明確に描いていたわけではありませんが、やはり外構をやっている人間なら一度は、建物の中も外も含めた空間をまるごと手掛けてみたいと考えたことがあるのではないでしょうか。今は建物はハウスメーカーが、外構やエクステリアは我々のような外構業者が行うことが多いけど、どこからどこまでが外構かを線引きすることって何か意味がありますか? 住んでいる人にとっては、その敷地内全部が「家」なんです。門を入って庭を通って玄関を開けて家の中で生活をしたりくつろいだりする、その一連の流れがスムーズにできることが暮らしやすさであったり、建物の外と中のデザインに一体感があることがその家の個性を出すことであったりするんじゃないかなと思うわけです。外構業者だからこそできる、機能面でもデザイン面でも優れた家を建ててみたいと思いました。

–ただ、新規で建設業に参入するのもなかなか大変なのではないかと思います。

実は、初年度の目標を20件以上と決めたんです。できれば30件くらいまで伸ばしたいなと。その当時の会社の規模からいうと、一般的に考えて3件くらいというのがせいぜいなんですが、その10倍は行きたいと思いました。

僕はウサイン・ボルトでいたいんです(笑)。彼らのような「トップをとる人間」というのは、きっと小さい頃初めて“かけっこ”をした時からぶっちぎりの一位だったはずです。新しいことに初めて取り組んだ時にぶっちぎりじゃなかったら、その後どんなに頑張っても人並みになるのが精一杯。ということは、その分野においての自分の才能はないということです。だから、初年度の目標は、いつもガツンと大きく。そして「自分にはそれだけの能力があるんだ」と自分に言い聞かせながら、とにかく死に物狂いで頑張りました。

–結果は、どうだったんでしょう?

もちろん、クリアしましたよ。それまで3億円あたりをウロウロしていた売上も、一気に伸びました。

その後本社事務所を建て替え、続いて大阪支店と京都支店もオープン。商圏を広げたいという考えもありましたが、それよりも会社としての信頼度をアップさせたい気持ちの方が強かったですね。結果的には店舗を増やしたことで受注が伸び、メーカーさんと取引をする際のスケールメリットが生まれました。

さらに2018年には本社の近くにモデルハウスを作ったんです。自分ならこんな家を建てたいという構想をカタチにした家です。たとえば、扉がついていない作り付けのクローゼット。設置する角度をちょっと工夫して死角にすれば、扉がなくても中のものが丸見えになりません。扉の開け閉めなんて1回くらいは大した手間じゃなくても、毎日のこととなると意外に面倒ですからね。

あとは、自動掃除機のステーション。最近価格が下がってきて取り入れる家庭も多い自動掃除機ですが、床にあるとこれが意外に邪魔なんです(苦笑)。そこで、クローゼットの下に10センチぐらいの空間を作って、充電を兼ねた自動掃除機の収納スペースにしました。

家って基本的な機能はずっと変わらないように見えて、時代時代で必要とされる設備は実は少しずつ変化しています。例えば、固定電話が当たり前だった時代は電話の設置場所をどこにするかを考えなくてはいけませんでしたが、現代ではそれよりも無線LANのルーターをどこに設置するかを考えることが求められています。今までにないスピードで暮らしが変わっていく時代において、外構業者は外構だけやっていればいいなんて言っていたら、あっという間に取り残されてしまいます。

ゴールデンウイークの最終日という、お世辞にも集客に適しているとはいえない日にオープンしたにも関わらず、オープンイベントは大盛況で、4組のご家族様から「この家をこのまま建てて欲しい」というオーダーがありました。今でも「あの時モデルハウスを見たので」とおっしゃるお客様もいらっしゃいます。

大盛況だったモデルハウス

紹介による受注が一番嬉しい
ホームページを充実させることだけが対策ではない

–手掛けられるのは一般住宅がメインですか?

数としては一般住宅が最も多いんですが、そのほかにも幼稚園などの公共施設や、企業の事務所などもやっています。契約数はだいたい年間160件くらいでしょうか。

–それだけの契約を取る秘訣というのはあるのでしょうか?

うーん、特に秘訣というほどのことはないですね。一般住宅でも公共施設でも、すべてのお客様に一球入魂するだけ。ただ、無駄な金額争いはしません。妥協をしなければ採算が取れないような工事は受けたいとは思わないので、そういう依頼はさっさと手を引きます。

–では、一件あたりの金額を高価格にするための工夫などは?

それも特にないです。あえて言えば、ホームページを充実させすぎないことくらいでしょうか。最近の業界の流れとしてはホームページをしっかり作り込んで、それを見たお客様からの問い合わせを上げようということがありますが、それに頼りすぎるのはどうかと思います。ホームページで言えることには限度があるし、こちらが意図しない情報が伝わってしまうこともありますからね。僕としてはそれよりも、工事を担当したお客様が別のお客様をご紹介いただくことの方が嬉しいんです。それだけ満足していただけたということですからね。そのためには一つひとつの案件を丁寧に行うことが大切だと思っていますし、結果的に強く値引き交渉をされるお客様は少ないと感じています。

設立初年度の目標1億円をクリアしたものの
定期的に売上が停滞する時期も経験

–会社設立後約20年、ずっと順調に来たような印象を受けますが、実際にはどうだったのですか。

株式会社アクティブ本社社屋

いやいや、そんなことはありません。通りすぎてしまえば、いくらでも良いことは言えますが、本当のところを言えば目の前のことで必死に取り組んでいるうちにあっという間に過ぎた20年でしたよ。

この会社はもともと僕の知人が経営していて、その後僕が株を買う形で譲り受けたんです。それまではメーカーで働いていたり、不動産の仲介業をやったり、土木建設を行う会社で営業をしていたりと、まあフラフラしていたわけです。この会社を買ってくれないかという話が来た時は38歳。あと干支がちょうど1周りしたら50歳です。その歳からでは人生のチャレンジは難しいんじゃないかと考えたんですね。やるなら今だ、と。そこで、最後のチャンスのつもりで会社をスタートさせました。

先ほども言ったように、僕はウサイン・ボルトでいたいタイプ。初年度の売り上げ目標を1億円に設定したのですが、結果は惜しくも9,800万円。初年度なので課税業者ではなかったのですが、消費税分の数字を計上すると1億円はクリアします。ちょっと悔しさは残るものの、2トントラック1台買って始めたにしてはなかなかよくやったじゃないかと思う気持ちもありました。

2年目の目標は建設業許可(専門工事)を取ることでしたが、なんと早くも税務調査が入り、手厳しい指導を受けました。そこで、3年目は足元を固めようと、従業員を雇い、自分は営業と経営に集中することにしました。ところがいざ現場を離れると、損益分岐点が見えなくなるんですね。売上は一気にダウン。初年度に一億をクリアしているのですぐに潰れることはないだろうと思ったものの、経営方針に迷いが生じてしまい、また現場に復帰してみたりと、試行錯誤を繰り返しました。

その後も伸びたと思ったら停滞、また伸びたと思ったら停滞という繰り返しでしたね。

–やはり、20年間ずっと右肩上がりというわけにはいかないですね。

そうですね。景気の波もあるでしょうし、僕個人のリズムのようなものもあるのかもしれません。振り返ってみると、一定の周期で売り上げが停滞しているのがよくわかります。人生にも商売にも、「がんばってもどうにもならない時期」というのはあるんだなと思います。

 

初期にあえて高い目標を設定し、クリアすることで経営基盤を強固なものにしてきた上堂地さん。次回は、経営に悩んだ時にどのようにそれを打開してきたのかを伺います。

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