新商品展示会、エリアでターゲットを工夫して集客している。

新商品展示会、プロの集客の「東京」「大阪」、ユーザー集客の「仙台」、その中間の「名古屋」「福岡」と、エリアでターゲットを工夫して集客している。施工店の共同ブースでの人気投票コンテストやデザイン家具、職人の求人企画など今までになかった新しい取り組みも見られた。

いまエクステリア業界では、新商品展示会のシーズンの真っ最中だ。今年は商品そのものではなくて、「空間展示」というコンセプトが目立っている。エクステリア業界の知名度を向上させるためには、外部空間の魅力について、多くの人々に知ってもらう必要がある。そのために一番効果的なことは、庭で過ごすことの気持ち良さを体感してもらうことだろう。各展示会場では、ちょっと休憩できるようなカフェスペースや、今までエクステリア業界ではあまり見られなかったデザインファニチャーなども見受けられたのが特徴的である。

東京、名古屋、福岡、仙台、大阪で開催される展示会だが、その中身は各会場で様々だ。まず来場者については、エクステリア販工店などプロの集客がメインなのが、東京と大阪。エンドユーザーの集客がメインなのが、仙台。その間で、だいたいプロとエンドユーザーをバランスよく集客するのが、名古屋、福岡といったところ。

この中で、最近とりわけ注目されているのが仙台の『希望の芽』である。ここには15社近いエクステリア販工店や造園店がモデルガーデンを創作し、一般来場者の評価を仰ぐという試みを行っている。今年からプロの設計家による審査も追加されたが、エンドユーザーによる人気投票でモデルガーデンを表彰するという取り組みは、各会社のモチベーションを上げている。また、実際にモデルガーデンの出展がきっかけとなり受注に結び付く例も見受けられ、エクステリア販工店による展示会への出展は、高い宣伝効果を生んでいることが分かる。一部メーカーにとっては、エンドユーザー来場型の展示会は、正直「効果が薄い」と話すところもある。しかしエクステリアの魅力を伝える上での後方支援として、仙台に関してはおおむねメーカーは協力的である。展示会の最中に、販工店の経営者と話をしたが、その経営者は「東北はエクステリア・ガーデン自体の認知度が低く、またガーデンライフのすばらしさを提案するような専門店も少なかった。それだけにこれから市場の広がりが期待できる」と言っていた。

一方でプロ向けの展示会も、今年は大変に盛り上がったように見受けられた。エクステリアメーカーと代理店が一体となってバス動員をして、最新の商品をエクステリア販工店に見てもらうという展示会スタイルが、ずっと続いているのが東京の展示会だ。バス動員による集客が展示会の動員数を支えている。たくさんのプロが実際に新商品に触れて担当者と意見を交わす光景こそ、新商品展示会の醍醐味である。次のステップとしては、この空間展示の世界を、さらに別の業態に対して訴求できるか、というところだろう。メーカー、代理店、エクステリア販工店といった三位一体の世界を堅持しつつ、建築家やリフォーム店、さらには店舗関係の業態などに対しての空間訴求をしてみたい。

なお、各会場では高校生向けのガイダンスや、職人不足に対する対策など、次代の人材確保に向けたソフト面での展示も多数見られた。これはかなり新しい取り組みであった。今後も商品、空間、そして人材育成に至るまで、市場創造に向けた総合的な展示会の進化に期待したい。

著者プロフィール

株式会社住宅環境社
株式会社住宅環境社佐倉慎二郎
佐倉慎二郎 ㈱住宅環境社 代表取締役社長
住宅建材業界、エクステリア分野の専門誌記者・編集者25年。2006年より「月刊エクステリア・ワーク」を発行する㈱住宅環境社入社。2014年に代表取締役社長に就任。現在は住宅と外構・エクステリアを融合する「住宅と庭との一体化設計」と、非住宅分野である商業施設(コントラクト市場)における庭空間の市場開拓を探る「サードプレイス『庭・快適空間』」を発刊。ホテル、レストラン、商業施設などに向けての情報提供や、まちづくり、異業種コラボレーションに向けての提案を行っている。

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