「我が社の強み」に学ぶ、1回目 前編「株式会社トップテクノ」
外構工事全般を手がけ、「高付加価値提案」で売上実績を上げているエクステリア専門店をご紹介いたします。
第1回目は、YKK AP主催のコンテストで入賞経験もある、東京都杉並区の株式会社トップテクノ 代表の佐藤正和さんに「我が社の強み」について、お話をお聞きしました。
<会社紹介>
株式会社トップテクノ
代表 佐藤正和(さとう まさかず)さん
創業27年を迎え、実績数3000件を誇る東京・杉並区のエクスリア専門店。
YKK AP主催の「2018年 エクステリア スタイル フォトコンテスト」エクステリアリフォーム部門に入賞するなど、多くのコンテストで受賞され、高い評価を受ける。
「敷地全体を住空間と捉え、オンリーワンを創りたい」をモットーとし、その施工数と口コミの多さからも、お客様満足度の高さがうかがえる。
【事業内容】
エクステリア部 外構工事:エクステリア工事 ガーデン工事等の設計・施工
建設部:土木、造成、解体工事
EC事業部:エクステリア商品、ガーデングッズ・ファニチャー、マリブライトの販売
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当たり前なことを、地道に頑なにプロとしての提案を続けたことが、いま、実を結んでいる。
結局「この会社に頼んでよかった」と思っていただけるかどうかが勝負。
集客はウェブサイトと口コミが中心。
お客さまへのレスポンスの良さで、会社の個性を打ち出す。
−エクステリア専門店である御社は3000件を超える実績があります。集客はどのようにされているのでしょうか?
今は、ウェブサイトと口コミが中心ですね。以前は展示会に参加したり、チラシを作ったりしたこともありましたが、結果的にムダに終わることが多かったんです。新聞折り込み広告など、200万~300万円かけて撒いても、問い合わせがあるのは錠の交換ひとつだったり、壁を塗り直したいだけだったり(苦笑)。もちろん小さな仕事も大切ですが、費用対効果としてはとても見合うものではありませんでした。そこで、ウェブサイトを充実させることにしたんです。
ウェブサイトで工夫しているのは、施工事例をなるべく多く紹介することと、コラムページで自分のエクステリアに対する考えや思いを書くこと。問い合わせをいただくのは、家にこだわりを持っている方や、私の考えに共感していただいた方が多いですね。やはり他社にはない個性を打ち出すのは大切なことだと思います。
また口コミに関しては、一度仕事をしたお施主様や住宅メーカーの方から再度依頼を受けたり、ほかのお客様を紹介してくださったり。こうした依頼は最初から信頼度が違いますから、ほぼ100%成約となります。昔は、工務店やハウスメーカーから依頼を受けていたので、お施主様が直接依頼してくることはほどんどありませんでしたが、エクステリア工事の専門会社として15年くらい前から一生懸命やってきたことが、今につながっているのだと思います。
−集客の後、成約に至るまでの決め手は何だと思いますか?
心がけているのは、レスポンスの良さです。トップテクノではお客様に聞かれたことはなるべくその場で答えられるように、提案や見積りは遅くとも1週間以内に出すようにしています。質問や相談に対する返事が遅かったり、知識がなく答えられなかったりすると、お客様は「この会社に頼んで本当に大丈夫だろうか」と不安に感じてしまいますよね。また、どんなに提案が良くても時間がかりすぎてしまえばその間に他社に決められてしまうこともあるでしょう。当たり前のことですが、プロであれば商品知識や業界の動向などの情報収集や勉強を常に怠らず、必要に応じてレスポンス良く出すことが大切だと思います。
実はトップテクノでは以前、営業マンを多数雇用していた時期がありましたが、受注量が増えすぎた結果、現場がうまくまわらずに質の低下を招いたという苦い経験があります。そうした反省から、いまでは少数精鋭に方針転換をして、エクステリアの知識があり、デザインやプランニングができる人間が営業も担当するようにしています。
株式会社トップテクノの施工の一例
契約率を上げる秘訣は、お客さまがイメージしやすいデザイン図面の提示。
−いまは提案に高い付加価値が求められる時代ですが、御社ではどのように提案をされていますか?
初回のお打合せでご希望をうかがった後、ご提案の際に必ずパース図や平面図などのデザイン図面を提示するようにしています。一見、手間がかかって非効率なように思えるかもしれませんが、お客様にとっては具体的なイメージが持てると判断のしやすさがぐんとアップします。すると当然、契約率も高くなるわけです。お客様が複数の会社で見積もりを取っていることがわかっていても、うちでは当たり前のスキームとして、お客様のニーズに合った図面をどんどん作って提案します。実際、価格勝負に持ち込まないためにも、デザイン図面はとても有効なんです。
たまに、うちが作った提案がそのまま利用されて他社で施工されていたことが後でわかったりすることもありますが(苦笑)、トータルで見ればデザイン図面を作って提案する価値は十分にあります。なかには、パース図をPDF添付して、メールのやり取りだけで契約が決まるお客様もいますから。それを考えると、まったく無駄ではないんですよ。
−たしかに、パース図を見てイメージできるとお客様も安心ですね。図面を作成するのに難しいケースはありますか?
古い物件のリデザインですね。新規のお客様の場合、現地でお会いしてご希望をうかがい、お借りした建築図面と現地で撮った写真を参考にしながら、デザイン図面を描いていくのですが、新築の場合は確実に建築図面が入手できるのに対して、リデザイン、特に古い物件の場合は建築図面がない場合もわりと多いのです。壁の中の構造や地中の配管がどうなっているのかなど、現場の調査に時間と手間が必要になります。
プロとしての、豊富な知識と経験に基づいた提案で、お客様の満足度を高める
−提案内容で気をつけていることは何でしょう?
予算とご要望に合わせて提案できる知識や情報は多いほうがいいと思っています。例えば、宅配ボックスも2種類しか知らなければ、2種類だけの提案になってしまいます。提案したものの中から選ぶお客様も多いので、気にしない業者もあると思いますが、うちではできる限り、予算と用途に合わせた商品の選択肢を増やしてあげています。
その上で、プロならではの知識を提案に盛り込んでいくことが大切です。例えば、ウッドデッキを設置して、そこでランチを食べたりお茶を飲んだりしたいという要望があった場合、方角的に日があたりすぎることが予想できればウッドデッキではなくタイルデッキを提案することもあります。特に夏の太陽の下では、デッキ表面の温度が上昇して裸足では歩けないほど熱くなってしまいますからね。また、広さと納まりにもよりますが、ウッドデッキなら50万円かかるところをタイルデッキなら30万円ほどでできます。浮いた20万円は他のことに使えるわけです。しかもタイルデッキは掃除もしやすい。当然、お客様は喜んでくれるので、満足度にもつながります。
−どうしても変更したくないというお客様の場合はどうされていますか?
もちろん、自分のこだわりを通したいという方には、ご希望通りに進めるようにします。ただ、「こちらからもご提案させていただいてよろしいですか?」と確認してから一応ご提案もするようにしています。お客様がこだわり抜いたものは大事にしたいと思う一方で、我々がなぜそれを勧めるのかをきちんとご説明して、「こういう方法や商品もあったのか」という、新しい発見や“気づき”になれば嬉しいと考えているからです。
−お客様の思い描いている予算とやりたいことに隔たりがある場合はどうされますか?
ああ、よくありますよね。ただ、多くのお客様は外構工事がいくらくらい掛かるのかわからないので、「100万円でできますか?」といったような、なんとなくキリのいい金額を言っている場合も少なくないんです。そんなときは、その金額はひとまずおいておき、まずはやりたいことをじっくりうかがうようにしています。その上で、○○をやるなら200万、○○をしたら300万という具合に提案をします。
もっとも、話をしながら本当に100万しか予算がないのか、あるいはやりたいことができるならもっと出せるのかを見極めていくことは大切です。無い袖は振れませんし、建物ならともかくエクステリアにはそんなにお金をかけたくないという考えのお客様もいますから。ただ、土地や建物を見れば、これまでの経験から、その人の価値観や予算感はだいたい予測がつくものです。
予算がありそうだと踏んだらどんどん提案を加えてしてトータルの金額を吊り上げる業者もあると思います。反対に、契約を取ろうとするあまりに過剰な値引きを提示する業者もあるかもしれません。でも、私自身はそういったことはしないようにしています。きちんと話をうかがったうえで、やりたいことに対して適正な価格を提案するようにしています。お客様と腹のさぐりあいをするような関係だと、本当の要望は出てこないことが多いですし、そうなるとこちらもお客様に満足してもらう提案ができません。結局「なんとなく、こんなものかなあ」という程度の内容になってしまうわけです。目先の金額の多寡に必要以上のエネルギーを割くよりも、ちゃんとした付き合いをして、良い施工事例を残した方がよほど次につながります。
YKK APのエクステリア スタイル フォトコンテストを受賞した施工例と提案時のパース図
常々、真摯な対応でお客様の信頼を得ることに気を配っている株式会社トップテクノの佐藤さん。次回は、一つの施工例がリピートや紹介につながる理由を伺います。
著者プロフィール
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