インドア・グリーンの事業領域拡大がエクステリアビジネスの可能性を大きくする
フラワーショップ「青山フラワーマーケット」を運営する㈱パーク・コーポレーションが展開する「parkERs(以下、パーカーズ)」という空間デザインブランドがある。最近、このパーカーズが行っているインドア・グリーンの事業領域拡大が目覚ましい。
パーカーズは、そのブランド名の通り「日常に公園のここちよさ」を提案すべく、商業施設や住宅、公共施設などの空間プランニング・デザイン設計や施工、オリジナル家具の開発を行ってきた。その事業の幅も年々広がっており、新築分譲マンション開発、オフィスデザインに止まらず、成田空港の植栽デザイン監修やバリューアップ計画の壁面緑化、JR新山口駅の壁面緑化、2019年には茨城県石岡市「茨城フラワーパーク」のリニューアルプロジェクトの魅力向上計画の策定を行い、石岡市産業文化事業団と共に指定管理業務共同事業体を設立。2021年4月のリニューアルオープン以降も「見る」から「感じる」フラワーパークとして「いばらきフラワーパーク」の企画・運営に携わっている。
とりわけ最近のハウスメーカー等とのコラボレーション活動では、今年5月に積水ハウス㈱が新営業拠点として開業した「SUMUFUMU TERRACE(スムフム テラス)」の新宿と立川の2拠点の内装設計デザインから施工、メンテナンスまでをトータルプロデュース。さらに7月に大和ハウスグループの㈱コスモスイニシアの新築分譲マンション『イニシア横浜天王町』での、住まう人の暮らしに緑や花を取り入れる「Living With Green」サービス、そして三菱地所レジデンス㈱が今年10月14日に竣工した新たな住職一体型賃貸マンションシリーズ「The Parkhabio SOHO 代々木公園」でのマンション全体のデザイン監修とアートのプロデュース・制作などをおこなっている。
最近の公園や道路などの公共空間では、人がくつろげる広場の快適性を追求するための仕掛けが多数登場しているが、この流れが新築ビルやマンション、戸建て住宅などでも着実に進んでいる。その最先端を行っていると言っても過言でないのが、これらのパーカーズの活動である。
これまでインドア・グリーンと言うと、観葉植物のリースや壁面緑化などがビジネスとして展開されてきたが、パーカーズの活動は、さらにプラスして、「ウチ」と「ソト」をつなげるトータルな空間デザインを提案するものになっている。その結果、大手ハウスメーカーでも住宅商品の主要な提案要素として採用されるようになっている。
建物とエクステリアとの融合が当業界では進んでいるが、それにも増してインドア・グリーンの世界では、さらに事業領域を拡大し最先端を走っている。SDGsという概念が世界的に広まっていく中で、日本でもさらにインドア・グリーンの事業領域拡大の可能性は高まっていき、今後はさらにさまざまな異業種との融合も始まっていくかもしれない。エクステリア・ビジネスにおいても、こうした流れをヒントにして様々なコラボレーションを志向していきたい。
著者プロフィール
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佐倉慎二郎 ㈱住宅環境社 代表取締役社長
住宅建材業界、エクステリア分野の専門誌記者・編集者25年。2006年より「月刊エクステリア・ワーク」を発行する㈱住宅環境社入社。2014年に代表取締役社長に就任。現在は住宅と外構・エクステリアを融合する「住宅と庭との一体化設計」と、非住宅分野である商業施設(コントラクト市場)における庭空間の市場開拓を探る「サードプレイス『庭・快適空間』」を発刊。ホテル、レストラン、商業施設などに向けての情報提供や、まちづくり、異業種コラボレーションに向けての提案を行っている。
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