「東京ミッドタウン八重洲」がグランドオープン 高級ホテル、小学校、バスターミナルも入るミクストユース型施設に注目
東京都内の主要駅前はいま、空前の再開発ラッシュが続いている。今回はごく最近の3月10日にグランドオープンを迎えた「東京ミッドタウン八重洲」を取材した。
「東京ミッドタウン八重洲」は、三井不動産による「東京ミッドタウン(六本木)」(東京都港区)、「東京ミッドタウン日比谷」(東京都千代田区)に続く3施設目の東京ミッドタウンブランドとなる。JR東京駅と直結する地上45階、地下4階、延床面積約29万㎡(八重洲セントラルタワー・八重洲セントラルスクエアの2棟合計)の大規模ミクストユース型施設となる。
施設のコンセプトは、「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド~日本の夢が集う街。世界の夢に育つ街~」というもの。「東京ミッドタウン」ブランドが目指す〝JAPAN VALUEを世界に発信しつづける街〟という共通理念の下、世界中・日本中から人や情報、モノ・コトが集まり、交わり、新しい価値を生み出し、世界に向けて発信していく街づくりを目指すとしている。
「ミッドタウン」ブランドと言えば、高級層・富裕層が参集する六本木のイメージが強いが、ここ八重洲はもちろん高級感を維持しながらも、一方で万人が気軽に立ち寄れる場所としてのイメージもある。世界のターミナルとしての「東京駅」として、一部の富裕層だけでなく、庶民も気軽に立ち寄れる機能が、多くのパブリックスペースを設けることで実現されているのも特徴であるように思える。
〝ジャパンブランド〟を世界に発信する57店舗
商業ゾーンは、「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド」がコンセプト。ジャパンブランドにこだわり、日本の未来のモノづくりとブランド価値を世界に向けて発信する。国内外から注目を集める多種多様な57の店舗が地下1階から3階に集結し、就業者・来街者・国内外観光客の交流と賑わいを創出し、日本の玄関口という立地を活かしたランドマークを目指す。
また2階には八重洲を行き交う全ての人が気軽にふらりと立ち寄れる場所を目指した「ヤエスパブリック」を展開。個性豊かな11店舗が入り、快適に楽しみながら、常に新しい発見があるパブリックスペースとなっている。
ポストコロナ時代の「行きたくなるオフィス」に注目
エクステリアの側面で注目されるのが、会議室、フィットネスジム、ラウンジが設置されているオフィスフロアだ。特に7階には三井不動産が展開する法人向けシェアオフィス「ワークスタイリング」のなかで最大規模となる拠点が開業。インドアグリーンや景観と室内との連動も採り入れられており、多様化するニーズに合わせた最適な働き方に対応させている。
4階と5階には都市と地域のイノベーションの起点として、企業・アカデミア・スタートアップなどが集う、交流と創発の拠点「イノベーションフィールド八重洲」もオープン。ライフサイエンス分野をはじめとした産業創造や、東京大学との連携による共同研究等で培った同社のノウハウやネットワークを活用し、イノベーションに必要な「場」と、地域や産業分野を超えた共創の「機会」を提供する。
ミクストユース型の街づくりを展開する多様な施設
この施設の一番ユニークなところが、高級ホテル、小学校、バスターミナルなどが混在するミクストユース型の街づくりが行われているところだ。
具体的には、日本初登場となる「ブルガリホテル東京」(2023年4月4日開業予定)や、「バスターミナル東京八重洲」(2022年9月17日第1期エリア開業済み)といった東京の玄関口という立地を活かした施設のほか、「中央区立城東小学校」や子育て支援施設「昭和こども園」等が設置されている。
東京ミッドタウン八重洲は「ミクストユース型」の構成が特徴。特に1~4階の小学校(城東小学校)は、従来この土地にあったものをタウン内に移設している
なお、3月10日には開業を記念して実施したオープニングセレモニーを開催。三井不動産代表取締役社長・菰田正信氏をはじめTOKYO UNITE発起人・北島康介氏など来賓が登壇しテープカットセレモニーが執り行われ華やかなオープンを迎えた。またテープカットセレモニーの後には、東京ミッドタウン八重洲のイメージキャラクターを務めている女優の生田絵梨花さんをゲストに招きトークセッションもおこなわれた。
施設のエントランス前にはオープン前から500名以上の行列ができ、その後も途切れることなく客が訪れ、各店舗での買い物や食事を楽しむ姿が見られ、館内は大いに賑わった。
著者プロフィール
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佐倉慎二郎 ㈱住宅環境社 代表取締役社長
住宅建材業界、エクステリア分野の専門誌記者・編集者25年。2006年より「月刊エクステリア・ワーク」を発行する㈱住宅環境社入社。2014年に代表取締役社長に就任。現在は住宅と外構・エクステリアを融合する「住宅と庭との一体化設計」と、非住宅分野である商業施設(コントラクト市場)における庭空間の市場開拓を探る「サードプレイス『庭・快適空間』」を発刊。ホテル、レストラン、商業施設などに向けての情報提供や、まちづくり、異業種コラボレーションに向けての提案を行っている。
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