マーケティング&セールス概論1-①

はじめに

リフォーム工事業を始めることは、誰でもできてしまいます。参入又は継続にあたって、工事施工については、現在のつながりや延長線上で目処がついたとしても、あなたが一番心配なのは、集客面ではないでしょうか?

これからお届けするお話は基本的なことなので、すでにエクステリア事業をされているあなたにとっては、「聞いたことがある」「知っている」「わかっている」という話になるかもしれません。

ひとりで集客活動を行われているであろうあなたにとって、リフォームへのステップアップに限らず、エクステリア事業にも役立つ内容ですので、復習も兼ね、ぜひ改めて理解していただきたい、認識していただきたいと思っています。

お届けする内容は下記6項目(各2回)で全12回になります。

項目1と2は概論になるため、抽象的なことが多くなりますが、ぜひ頭の中に入れておいてほしいことなので、意識してみてください。

1.マーケティング&セールス概論1
2.マーケティング&セールス概論2
3.リストビルディング(見込み客を集める)
4.リサーチ
5.ポジショニング(差別化)1
6.ポジショニング(差別化)2

 

1.マーケティング&セールス概論1-①

マーケティングの定義

一言で「マーケティング」と言っても幅が広いので、定義も難しいと思いますが、これからお届けする内容においては、

マーケティング=「見込み客」を集め、「信頼関係」を築くための全ての活動

と、定義付けていきます。

見込み客とは、まだあなたのお客さんになっていない方で、あなたに興味を持っている方を指します。

見込み客の方をどう集めるか?そして、集めて、なおかつ、信頼関係を築いていくための全ての活動を、マーケティングの定義とします。

セールスの定義

同じように、セールスの定義を、

セールス=「見込み客」「顧客」に変える活動

としていきます。

見込み客、つまり、まだお客さんでない方を顧客に変える、お金を頂く状態に変える活動をセールスと定義します。

マーケティングとセールスは、上記のような定義でお届けしていきます。

『優れたマーケティングは セールスを不要にする。』

あなたは、この言葉を聞いたことがあるかもしれません。

「優れたマーケティングは セールスを不要にする。」
P・F・ドラッカー

ドラッカーと言えば、もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)が、ベストセラーになりましたけど、この言葉は、マーケティングとセールスの関係を表している言葉です。

簡単に言えば、見込み客が集まり、信頼関係ができると、あまりセールスが必要なくなるということです。信頼関係ができていれば、激しい売り込みをしなくても、依頼されやすくなるのです。

例えば、全く知らないA社と、普段から接点のあるB社があるとします。商品内容が全く同じだったとしたら、お客さんは後者の方を選びますよね。

きっと、セールスが苦手な方も多いと思います。自分を売り込むのが下手だったり、ゴリゴリ売るのが嫌だったりする方も多いと思います。

だから、マーケティングをすごく強めれば、つまり見込み客に対して、一生懸命信頼関係を築いていけば、あまりセールスはしなくても良くなるのです。

マーケティングとセールスの活動

その上で重要なポイントがあります。

マーケティングとセールスの活動を分けて考える。

というものです。

よくやってしまうのが、マーケティングの活動中に、セールスを掛けてしまうということです。

例えば、関係性がまだできていないのに、または作っている段階なのに、セールスを掛けてしまう。本人も売り込むつもりはないのに、なんとなく売り込んでしまうとか、売り込みモードに入ってしまうとか。

信頼関係を作っていく最中に、セールスの要素が入ってきてしまうと、やはり機能しないわけです。

例えば、エクステリアにしてもリフォームにしても、顧客は漠然と「良くしたい」という思いがあります。ですが、専門家ではないので、何を選択すれば良いのか全くわかりません。なので、良くなるための専門的なアドバイスが欲しいと思っています。選択するための判断材料にしたいのです。

顧客が専門家であるプロの情報に耳を傾け、この会社でいいかどうか判断しようとしている時に、「こっちの方が安いから」「今キャンペーン中なので」という自社都合の下手なセールスをしてしまうと、どうでしょう?自分のことをわかってくれる相手には自然と信頼を寄せるものですが、反対に、求めている答えが得られない会社や人に対しては、自然と離れていきますよね。もしかしたら、その顧客は、”価格”よりも”より良いもの”の方が優先度が高いかもしれませんよ。

つまり、信頼関係ができていないと、顧客のニーズもつかめずズレが生じてしまい、このような状態で売り込んでいても、上手くいかないのです。

だから、マーケティングとセールスを分けましょう。

情報発信をするにあたっても、今日はマーケティングの日、今日はセールスの日。という具合に、マーケティングとセールスの期間を分けて、発信してみてください。例えば、イベントやキャンペーンの期間をセールスの日とするなら、それ以外は、マーケティングの日になるわけです。

極端に言うと、セールスをする時は、徹底的にしましょう。中途半端なセールスは逆に売れません。
セールスをする時は本気で行い、普段はマーケティングに徹しましょう。ということです。

その割合を感覚的に表すなら、

マーケティング:セールス

です。マーケティングというのは、信頼関係を作っていくことなので、信頼が増えるイメージです。セールスは、売り込み色を消しても、やはりセールスには間違いないので、信頼が減るイメージです。

だから、マーケティングで信頼を高めておいてから、セールスを行うのが、いいバランスなのです。これが逆の割合だと、見込み客はどんどん離れていってしまいます。

エクステリアやリフォームは、いつでも売り込めるとはいえ金額もそれなりにするため、いきなりの売り込みではなく、信頼関係をつくる期間をしっかりと設けてほしいのです。

信頼関係をつくる期間がどうしても短くなってしまう場合は、エクステリアに関連したお客さんの為になる情報など、その質を高めることをオススメします。例えば、失敗しないシリーズや、安くする方法、DIYの方法などです。ターゲットとしているお客さんの為になる情報ですね。

あなたが現在、エクステリア事業を営まれていることを考慮すると、エクステリアを切り口にして、信頼関係を築いていくことが、リフォームを強化し、拡大していく近道なのです。

(つづく)

著者プロフィール

井内 智哉
井内 智哉株式会社デザインアトラクト
2013年6月より、住宅業界専門のマーケティングコーチとして独立。現在は、工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを行う。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。