マーケティング&セールス概論②-1

シンプルで実践しやすいツーステップマーケティング

ツーステップ(2ステップ)マーケティングという方法をご存知でしょうか?

基本的なマーケティング手法(見込み客を集め、信頼関係を築くための活動)であるため、効果的にツーステップマーケティングを行っている会社はたくさんいらっしゃいます。また、ツーステップマーケティングという言葉を知らなくても、昔から自社の手法として、当たり前のように行っている会社もいらっしゃるかもしれません。

もし、ツーステップマーケティングという言葉も知らず、このマーケティング手法自体を全く行っていない会社があるとしたら、非常にもったいないので、ぜひこの機会に取り入れてほしいです。

具体的な取り入れ方に進む前に、まずは、基本となるツーステップマーケティングの概要と、メリット・デメリットの解説をしていきます。

 

ツーステップマーケティングとは?

ツーステップマーケティングとは、ハードルの低い入口を設けておいて、その入口からゴールとなる商品に導くための手法を指します。

例えば、

  • 化粧品の試供品を試してみたところ、良い商品だったので購入した。
  • スーパーの試食を食べたら美味しかったので、その商品を購入した。
  • セミナーに参加して話を聞いたら良かったので、主催企業のサービスや商品を導入した。

これらは全て、ツーステップマーケティングです。

試供品や試食、割引商品など、目に見えるものだとわかりやすいので、もしかしたら、上記の様な例で、あなたも商品を購入した経験があるかもしれません。

エクステリアやリフォームを含む、住宅関係の場合だと、高額な商品やサービスになるため、試供品や試食、割引商品など、目に見える商品ではなくても構いません。

目に見える商品以外の入口を挙げるなら、

  • 小冊子を渡し、教育してから、見積もりの問合せを得る。
  • 展示会を開き、その後、無料相談にもっていく。
  • 勉強会を開き、その後、無料相談にもっていく。

などがあります。

すぐに契約とは決められないからこそ、小冊子や展示会など、情報を最初の入口にして、ハードルを下げ、無料相談や見積もりに持っていくという流れが基本になります。

 

また、ツーステップマーケティングには、

  • 単純接触効果(ザイオンス効果)
  • 一貫性の法則

といった心理的効果もあるので、とても有効的なマーケティング手法でもあります。

 

単純接触効果(ザイオンス効果)とは?

単純接触効果とは、接触回数が増えることで、好感度が増していくという効果です。

人と人の関係は、正しい接触する頻度に比例して、親密度が増していきます。例えば、美味しい飲食店があって、そのお店に顔を覚えてもらうなら、1回で3時間居座るより、1時間でも3回行く方が、覚えてもらいやすいのです。

これは、人と人の接触だけではなく、体験や情報なども同じことが言えます。テレビCMを何度も見ると、その会社のイメージが頭の中に残りますよね。CMを同じように打ち続けているのはそのためです。

つまり、ツーステップマーケティングを行い、小さくてもいいので顧客に一歩進ませることで、接触回数を増やし、親密度を増やしていきます。

 

一貫性の法則とは?

一貫性の法則とは、一度自分で決めたことをやり続けたり、または信じ続けようとすることを指します。人は自分の行動に一貫性を持たせたがる性質があるのです。

リフォームを、床はA社、浴室はB社、キッチンはC社とコロコロ変えて依頼する方はいないですよね。最初に依頼した会社で嫌な思いをしていなければ、また依頼するという流れがあります。エクステリアも、同じことが言えますね。

つまり、最初の入口から、小さくてもいいのでYESを積み重ねていくことで、最終的な依頼に繋がりやすくなります。

この法則をうまく活用し、蛍光灯の交換や障子の張り替えなど、家のちょっとした困りごとを快く引き受け、「住まいのかかりつけ医」として地域住民に愛されているリフォーム会社もいらっしゃいます。

 

ツーステップマーケティングのメリット

ツーステップマーケティングは、正しく行えば非常に効果の高いマーケティング手法であるため、メリットはたくさんあります。まずメリットを押さえて、ツーステップマーケティングをやる意義をしっかりと押さえましょう。

メリット1.中小企業でもブランディングの弱さをカバーできる。

今すぐ客ばかりを狙った単純な広告競争では、ブランド力や知名度のある大手や地元の有力な会社には敵いません。ツーステップマーケティングを行うことで、自社の良さを知ってもらい、顧客との関係性を深めることで、次のステップに繋げる足がかりを作ることができます。

メリット2.見込み客リストが手に入り、接点を持ちやすくなる。

ツーステップマーケティングを行うことで、見込み客のリスト(名簿)が手に入りやすくなります。これにより、あなたの会社や商品に良い印象を持った見込み客に対して、継続的なアプローチが可能になります。そのアプローチにより、接触が増えることで、あなたの会社への信頼感は増します。

メリット3.案内やセールスの反応率も上がる。

あなたの会社への信頼が築けると、DMやチラシなどの案内も見てもらいやすくなります。また、案内への抵抗も少なくなり、反応率が上がります。さらには、お金のことなど、踏み入った話も可能になります。

 

ツーステップマーケティングのデメリット

良いことばかりのツーステップマーケティングですが、デメリットを挙げるとするなら、

デメリット:ステップを踏むため、仕組みづくりにコストがかかる

ツーステップマーケティングを始める場合、ある程度の事前準備に手間やコストがかかります。また、適した流れをつくる設計も必要になるため、始めてからの調整に、ある程度の手間やコストがかかってしまいます。

ただし、中小企業の場合、ツーステップマーケティングが集客活動の軸になる可能性は十分にあります。この方法は、今までやってきたことをガラッと変えてしまうということではなく、これまでの積み重ねや使い慣れたことを通して、テストしながらチャレンジできますので、リスクなく始めることができます。

(つづく)

著者プロフィール

井内 智哉
井内 智哉株式会社デザインアトラクト
2013年6月より、住宅業界専門のマーケティングコーチとして独立。現在は、工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを行う。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。

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