【後編】大学や自治体などとのプロジェクトほか、建築家と強いパートナー関係をもって取り組んでいるランドスケープデザイン事務所に聞く。

Q 板橋区立中央図書館について
このコンセプトや開発経緯などを教えてください。

最近の作品には、板橋も文京区も横浜市の市役所もありましたが、非常に多機能なものが集中していていろんな遊び方ができる利用の仕方ができるように見えたのが我々が注目した点です。

既存のイチョウと図書館 撮影:吉田誠

(戸田さま)

板橋区立平和公園は既存の公園です。地元の人に愛されている公園に図書館を作ることになり、松田平田設計さんが建築を設計されました。

これはワークショップを沢山行ったプロジェクトです。全部で4、5回、基本設計から実施設計まで、市民の方とワークショップをしました。リソルの森は物の設計に時間がかかっていますが、図書館は市民と話している時間が長かったプロジェクトです。

公園のこの位置に図書館を作るということは基本計画で決められてました。図書館を建てた場所にはバーベキュー広場がありました。大きな水景があったり、イチョウの列植があったり、とても豊かな環境の公園でした。「新建築」にも松田平田設計さんが書かれていますが、敷地調査をしつつ、どれだけ既存樹を切らないで建築を作るかというのを、3Dスキャンで立体的にスキャンして、新しい築建物と既存樹の間のどこにクレーンが入るかとか、設計段階でも検討しました。そのおかげで、市民の方にも保存する木と移植する木を説明し理解してもらいました。ここに写真がありますが、これはみんなが大好きだった桜の木を移植しました。重機移植という移植で、大きな3mΦくらいの根鉢をそのまま移植するので、上を剪定しなくて移植できるのです。普通の移植は根を切るので枝ぶりも小さくするため、移植した後はこじんまりしちゃうんですけれど、そうじゃない移植ができたというのは、よかったです。

図書館の利用形態では、最初はみんなの広場っていうところに、本を借りないでも持ち出せるような、そんな場所が作れないかということは考えていたんですが、現実的にはICチップのつけ方とか結構難しくて、やっぱり借りてからしか持って出られないということにはなりましたが、本を外で読める場所をつくることを建築設計の方と考えました。

大ザクラの重機移植

みんなの広場でのイベント 撮影:吉田誠

Q 戸田さまがやられるときには、だいたいワークショップをやりながら新しいランドスケープを考えたり、建築デザインを考えたりするのですか?

(戸田さま)

プロジェクトによってです。昨年竣工した長野県立美術館も、ワークショップをたくさん建築家の宮崎浩さんと一緒にたくさんやりました。今後、公共のプロジェクトのワークショップ増える方向になっていくとは思います。ワークショップはやり方が大事です。ガス抜きのためにやっているようなのはよくないです。

もともとこの平和公園は市民に愛されていたので、市民が掃除などもしていた公園です。与えられた空間が気持ちいいな、きれいだなではなくて、ここをどうやって自分たちで使っていこうかということを考えられるようなワークショップにしていくというのが大事だなと思います。

この図書館はボローニャ図書館と姉妹図書館になっている絵本が沢山ある図書館なんですが、子どもたちへの絵本の読み聞かせ会など企画されています。区民の人たちにも提案してもらって、イベントの提案をしてもらうとか、本をみんなで持ち寄って交換会のようなものをやるなどいろんなことを今考えられている。そういう意味では、公園に図書館がくることによってパブリックな場所としてより交流が深まる良いプロジェクトと感じています。

 

Q 今、図書館は大きく変わっている。今ではなく15年、20年くらい前から。開架方式も含めて、どう本を見せていくのか。借りやすくしていくのか。あるいは、多様な施設をそこに導入していくのか。

(戸田さま)

公民館的な機能が図書館に増えてきていると思います。ここも、カフェも入っているし、会議室もあるけれど、それを区民に貸し出すこともするとか、イベントができる場所をつくっているとか。

 

Q 子どもたちが勉強する場所からいろんな活動ができる場所になってきていますね。本とは直接関係ないようなものまで。

(戸田さま)

まさに、中学生しか入れないような部屋があったり、大人がいると勉強したくないということらしくて。中学生だけが勉強できるような部屋があります。

 

Q そういうのと、外側、外部空間をどう考えるのかというのは、影響しあうものでしょうか?

(戸田さま)

そうです。実は予算調整で家具を減らしてしまったのですが、最初は外部にもすごく家具が多くて、子どもが使える家具から大人が使える家具まで椅子の大きさも調整して、いろいろと提案していたりしました。そのかわり、芝生広場が区の要望で、人工芝にかわりました。最初は反対したんですが、でも若いお母さんたちは芝生より人工芝の方が好きみたいで、結構人工芝の評判が良いです。清潔感を感じるというか、寝っ転がってくれるというか、芝生だと実は寝っ転がってくれなかったんじゃないか思ったりしました。そういうところはやってみて面白いところです。また、せっかく人工芝を作るのなら、ただの芝生ではなくてファニチャーを人工芝にしてはどうかという事でそんな試みもしました。

人工芝の広場と家具でくつろぐ 撮影:吉田誠

(三谷さま)

ここは周りが公園なので、本物の土や草はあるから、逆に人工芝はその中の一つとして楽しめばいいと。

(戸田さま)

私も最初、なんで人工芝と思っていたのですが、もう十分土はあるし虫もいっぱいいるし、自然を楽しむのはそちらで良いのかなと。この家具は人工芝が背もたれになっていて、寝っ転がれるようになっています。これから人工芝を取り入れた屋外ファニチャーも沢山デザインしていければ面白いかなあと思っています。最近の人工芝は肌ざわりがとてもよいですし。ここで、読み聞かせイベントが行われています。

 

Q 本を外に持ち出して、どういったところで読んだりなんかしているのですか?そういう、受ける場所というのか、人工芝のところで読んでいたり、こういう椅子で読んでいたり、木の上で読んでいたり。

(戸田さま)

テーブルとベンチが少しあるんですが、外は人工芝のところ以外は残念ながらあまりファニチャーはありません。ただし建築のテラスが2階、3階にあり、そこは本を借りないで持ち出せる場所として、沢山椅子があったりします。テラスから庭や子どもたちが遊んでいる姿が見えます。それはセキュリティーの中の屋外スペースでとてもよい場所です。借りて持ち出して屋外のカフェの前のテーブルで読んだりされていると思います。

 

Q 内部の建築計画と、外部のランドスケープ、外部デザインみたいなのと、どうかかわっていくのか。建築計画はこうなると、外部の空間のつくりはこうなるとか。

(戸田さま)

建築にも結構口出しします。入口がここにあると、屋外の広場が小さくなるので、こっちに動かしてもらえませんかとか。やり取りしながら中と外がうまくつながっていくように、建築設計者とは沢山相談します。

建築があることはすごく良いのですが、建築が先に決まってしまうと屋外が余った空間みたいになってしまうので、図と図でうまくかみ合うように、コミュニケーションを取りながら進めます。

 

建築内外の居場所の連続 撮影:吉田誠

本が読めるテーブル 撮影:吉田誠

(三谷さま)

もともと我々に仕事を依頼してくる建築の人は、議論したい人たちなんです。

(戸田さま)

私たちが言っても怒らないような人じゃないと、二度と仕事には誘ってもらえないです。そういう意味ではとても良いパートナーです。

(三谷さま)

三谷さん、建築ばっかり設計していないで、外も設計してよと良く言われます。

(戸田さま)

建築家と一緒に作りあげていくのは大事です。リソルは我々で建築作っちゃっていますが。

 

Q 私もリソルは一方でどうなのかなと。改修ですから改めてバンガローとか作る必要はなかったわけですよね。新しいテントはおつくりになっていますが。要するに建築的なものをずいぶん作っておられて、それで外でどうそれを使って遊ぶのかという視点がすごく強いなという印象を受けました。

(三谷さま)

これは大きな施設がないので、まあ我々で設計したのです。

(鈴木さま)

やっぱり人って何か仕掛けがないと、きっかけが作れなくて、居てくれないのです。そういった意味ではこういう小さな建築物というのは、きっかけを作るうえではすごく有効なので、わりとそういった意味で提案をして、こちらで作ってしまいます。

(戸田さま)

日本の場合雨が多いというのもあると思うのですが、ヨーロッパのようにただ芝生広場があったらピクニックをやってくれるという文化ではないんですよね。建築的なテーブルとイスがないとなかなか座ってくれない。さっきの、芝生は嫌だけれど人工芝なら座ってくれるとか。欧米人に比べたらすごく清潔感を大事にする国民性だと思うので。テントのような建築を作らないと、なかなか居場所にならないというのが日本です。

(三谷さま)

それは庭の空間ですね。庇があって初めて屋外空間ができる。庭があって初めて建物の縁側だとか、そのあたりも生きてくる。日本人は屋外との接しかたが庭的かなと思います。これは大きな都市的プロジェクトでも同じで、建物と外の中間領域をビルの足元とかに我々いつも提案しています。そこが実は一番大事で、いくら外に一生懸命に緑を整えても、中間領域が魅力的じゃないとうまくいかないです。

 

Q だから建築でも住宅でもバッファー空間を作って部屋に入っていくというのがすごく大事だということですよね。

(鈴木さま)

縁側とかはまさにその典型ですね。

(戸田さま)

板橋図書館も本当はもっと内外を繋げたかったんですけれど、セキュリティーの問題があったので、本を勝手に持ち出してしまうという。それさえなければ、もっといろんなところから自由に出入りできるようにしたかったんですが、それはちょっとできなかったですね。

(三谷さま)

現代建築の問題は、セキュリティーと特に空調ですね。今の時代は、夏場なんかは空調なしで生活できないようになってきたときに、内部空間は全部フィックスサッシュのガラスで閉じられている。緑は見えているけれど、空気はつながっていないような中間領域も多い。これは、新しい研究領域になっているんですよね。いかに空調の負荷を上げないで人が行き来できる都市建築ができるかというのを、別のシンポジウムで話したりしていますが、その辺が難しいけど非常に挑戦しがいがある建築の次のテーマです。

(鈴木さま)

コロナ禍になって、割と換気だとか外の空気を取り入れるという方向にいまちょっと傾いてきているのは、いい方向だと思います。

(三谷さま)

いいんですが、それが今すごい空調負荷になっている。

(戸田さま)

やっぱり空調負荷にならないいい方法でしょうね。

(三谷さま)

設備、環境系の先生たちにとっては新しい研究だと思います。

(戸田さま)

パッシブソーラーじゃないですけれど、いろいろ自然風を取り入れる研究をやられています。それはいいことですよね。

(三谷さま)

いいことなんですが、なかなかハードルが高い。面白いテーマですよね。

 

Q そうすると、既存の外構資材をあまり使うことはなくて、殆ど自分のところで設計しているということでしょうか?既存のものを使う場合、例えばどんなものをお使いになっているのでしょうか?

(戸田さま)

ボラードとかは、さすがに全部既製品ですよね。

(三谷さま)

作るときもありますけど、殆ど既製品です。

(戸田さま)

YKKAPさんのボラード、すごい好きだったんですけどね。カタログからなくなっちゃいました。ネセスのです。

(三谷さま)

面白いのは、既製品をどう組み合わせるかです。我々が時々やるのは、PCの農業用水の蓋などを、あれは工業二次製品で結構シンプルだったりするので、飛び石に使ったりとか。側溝の蓋ですけど、文脈をずらすとだれも側溝の蓋だとは思わない。マンホールのふたを飛び石の役物として置くとか。我々、庭で石を使えればいいですけれど、それはコストが無いから、そういうように別の文脈で使うことがあります。

(鈴木さま)

ちゃんとした使い方をしてないということです。

 

Q 枕木を使って側道をつくったりする使い方もありますよね。YKK APの製品などは、このプロジェクトでお使いになったことはありますか?

(戸田さま)

先ほどもいった、NECESS(ネセス)というシリーズが昔あった。あれは結構使っていたんですが、でも最近なくなっちゃったんです。でもお願いすると、作れますよと言って下さるときと、型がないのでともう作れませんと言われるものがあって。長野県立美術館には、お尻をちょっと置くようなヒップレストが配置されています。アルミに再生ゴムがついた製品です。

(鈴木さま)

カタログにあるようなものはあまり使っていないですね。

(戸田さま)

ゲートなどもあまり使っていない。

YKKAPのNECESS(ネセス)カタログ

Q だいたい、そういうところにフェンスやゲートを本当に必要なのかどうかというものありますよね。

(鈴木さま)

どうしても必要になるような境界に、こういうネットフェンスだったら、既製品を使うこともあります。

 

Q ネットフェンスはお使いに?やはり、リゾートのようなところでぐるっと囲むような。

(鈴木さま)

囲む場合と囲まない場合がありますが。囲った場合は、延長が長かったりするので、安いものではないと対応できなくて、使うことがあります。特注してしまうとお金が間に合わなくなってしまうので。

(戸田さま)

集合住宅とかデザインするときには、結構沢山ネットフェンスを使います。

(鈴木さま)

こういった、駐輪場の屋根とか、カーポートの屋根というのはある意味、東屋としての使い道ができそうだなあと思いながらいつも見させてもらっています。

 

Q 一定の面積があれば、構築物になりますよね。

(鈴木さま)

なります。確認申請も必要です。10㎡以下だと大丈夫なので。

 

Q YKK APと何か一緒にお仕事をされていたとか。あるいは商品開発のお仕事をされていたと言っていましたが。

(戸田さま)

YKK(株)黒部事業所のランドスケープデザインを20年ぐらいお手伝いしています。工場跡地に森を育てています。どんぐりから発芽させて苗木を作って森をつくったりしました。今は立派な森になってきていて、実はそのエリアは少しずつ増えてきています。工場がなくなると、じゃあどういう森にしましょうかと。

黒部事務所は黒部川の扇状地なので、地下水位がすごく高いのです。それで盛土をしないといけないのですが、土というのはすごく高くて、穴を掘ってその土を使って盛土してそこに木を植えました。穴を掘ると池ができるんです。防水しない池です。そういう意味では水辺と森ができて、生物多様性が実現できます。盛土の形状、森の樹種など実験的に一緒に森づくりをやらせていただいていました。

また森の中に丸屋根展示館といって、一部工場を残して展示館を作ったりとか、そこは大野秀敏先生が建築をやられています。

YKK黒部事務所 センターパーク・育てる森 撮影:吉田誠

 

Q どういう森を作ろうかというときに、森を敷地の剪定からどういうように植えていくかとか、将来できる森の姿が大体見通せるものでしょうか?

(戸田さま)

見通せることと、全く見通せないことがあるので、実験的にいくつかのバリエーションを作らせていただいています。まずどの樹種バランスにするとどう成長するのか知りたいので、色々なブレンドを作って成長させてみています。森の育ち方は地域によって全然違うので、同じ樹種を東京でやったらいいかと言われるとそうでもないです。気候条件、風と水の話もそうですが、土も違いますし。豊洲でも東京ガスさんの敷地で森を作りましょうと提案したことがあって森をつくり始めたのですけれど、参考にしながらやってみたけれど、またちょっと違いました。豊洲は海がもっと近いのでさらに難しいです。

YKKさんのところで私たちは森をつくったんですが、YKK APさんのベンチなどをYKKさん自身で設置された場所はありました。今後、YKK APさんともぜひ、エクステリア商品を一緒にやっていければいいですねという話しをちょうど、一年位前にしました。

(鈴木さま)

両国のYKKR&Dセンターさん、相当昔ですけど、デザインさせていただきました。風見魚と言うのですが、風向きによって向きをかえるものをつけたりしました。これは屋上庭園なのですが、わりとランダムに風が巻くのです。風は見えないので、それを風見魚という形で見えるようにし、上から見る視点をたくさんつくりました。ここは石板になっているのですが、ミストを定期的に吹いて、石板が濡れると空が映りこみます。上から下を見ているのに、雲の動きが見えてくるという効果を狙いました。

 

Q YKKAPの商品について、何か評価していたり、こういうものがあればいいのになかなかできていないということがあれば。。標準品だとあまり魅力的なものがないとか。

(鈴木さま)

実際使っていない理由は、たぶんあまり魅力を感じていないのだと思います。先ほど戸田がいっていた、ネセスという商品は結構我々も使っていたんですが。ちょっと値段が高かったのもあって、あとから工事費を圧縮させられたときに結局その商品が採用できなくなりました。いいデザインをされているのは、なぜか高価なので、それが安くできるといいなというあたりです。安い製品は競合もたくさんあるのですが、先ほど話したグレーチングもそうですが、実はシンプルなものが少ないんですね。この辺のラインナップも、もっとシンプルになってくれば割とうちとしては使っていきたいなというところが出てくるので。

(戸田さま)

どちらかというと、エクステリアファニチャーというか、住宅用のものが多い感じがして、ちょっと我々のような公共空間を作るようなところでは、なかなか使えるものがないというのが実際だと思います。

 

Q それは、非住宅でそういうものを作っていきたいというのが今のYKK APさんのお考えなので、そうですよね。

(戸田さま)

まさにそう思います。

ベンチとかではなくて、門扉とかを売っていらっしゃるので。それはやはり使いようがないので。

(鈴木さま)

住宅の設計はほぼないですから。

 

Q ベンチでもアルミ素材以外でもいろいろ面白いことが考えられるんじゃないかと思いますが。

(鈴木さま)

このリユーズドデッキというのは、たぶん再生木だと思いますが、これを使った家具とかが最近、ぽつぽつ出始めてはいるのですが、これでいいものをデザインできたら結構使いがいはあるのかなと思っています。

また、板塀などは割と既製品を探したりします。作るとやっぱり高いし、時間もかかるので、こういう商品の中から探そうかと思ったりしているんですが、以外と板塀はないのですよね。

素材は、板を表面に貼るんですが。シンプルにできればアルミもありと言えばありかと。

ルーバーはよくあるのですが、片面仕上げのものが多く、両面きれいに見えるようなものになると、極端に商品がなくなってしまいます。

 

Q 他のメーカーと比較して、YKK APの特徴みたいなものを感じられることはありますか?YKK APっぽい商品だなあとか、あまりないでしょうか?

(戸田さま)

本当にネセスのことばかりいって申し訳ないですが、ネセスはそういうイメージでした。アルミが本当にきれいに使われていました。

(鈴木さま)

ベンチだとこういうのがあります。ボラードもすごくシンプルで、基礎があって上の部分が地上にみえてくるのですが。これは1996年のカタログですね。

(戸田さま)

かっこよかったんです。アルミと再生ゴムで。こういう照明もシンプルでかっこよかったんですけど、値段は高かったですけど。値段が高かったからなくなったのか。この辺のベンチは黒部には結構、置かれていると思います。なぜか一般販売がなくなりました。

(鈴木さま)

こういうのだったら我々も使いがいがあるのだけれど。

(戸田さま)

他のところと同じだと、結局安いところに走ってしまう。高くてもぜひ使いたいですとお施主さんに言えるかどうか、照明もすごくかっこよかったですけれど。その辺の考え方ですかね。無くなってしまったのは、本当に残念でしょうがなかったです。なんでなくなったんだろうと、もし機会があったらAPさんに聞こうと思っていました。シンプルでよかった。

(鈴木さま)

いまだに使いたくなるんです。

 

Q 最後に、エクステリア、外構、ランドスケープでも、今後どういうところが注目されていくと思いますか?

(鈴木さま)

私が先ほどこれを東屋として使ったらいいんじゃないかという話をしましたが、外の空間で過ごすには屋根というのは重要だし、簡単には作れません。

ですのでそういった既製品でいいものが出てくると売れるのではないかなと感じています。

(戸田さま)

シンプルで安くてかっこいい東屋みたいなものですね。既製品の東屋は高いんですよね。高いのにこんなかっこ悪いのかと思うと作ったほうがいいみたいに思います。

(鈴木さま)

パラソルとかオーニングが最近流行っているのですが、先ほど膜の屋根をお見せしましたが、ああいった類の膜屋根、またそれを支えるものでもいいのですが、それプラス何か、簡単に作れる東屋みたいなものがYKK APさんとかから出てくれるとこれらも使いがいがあるかなと。これから流行ってくるんじゃないかなと思います。

 

Q 担当の方と話したときに、駅の駐輪場のデザインなんかもひどいからもう少し変えたほうがいいと話しをしていましたが。

(戸田さま)

課金する駐輪場のデザインもよくないですね。課金ボックスもラックもとても無骨です。

(鈴木さま)

自転車というキーワードでもみんな建築思考になっていて、自転車を置くスペース的な機械だったり、ベンチを切り替えて自転車を突っ込めるようにしたり、いろいろ工夫したりするのですが、そういうのも考慮しながら徐々にデザインしていくと、いろんな可能性が広がります。

 

Q 何か他にエクステリア業界に対する考えやメーカーに対しての提言がございますか?

(戸田さま)

屋根もそうですけれど、フェンス系も本当はもっとシンプルなものが既製品であるとよいと思います。ハンドレール、手すりも。あと結構、これいいねと思ってもなくなっちゃうんですよね。よく私たちお仕事していて、インターロッキングなんかもそうですけれど、この商品がなくならないという保証をメーカーからもらえないと使えませんとお施主さんに言われてしまうんです。だから二次製品がなくなってしまうのは、施主側としてはすごく困ること。改修などで使えなくなるので。その辺も、ぜひ長くシンプルでいいものを長寿命でつくり続けていただくというのが大事なんじゃないかなと思います。フェンスがつぎはぎだったりするのがありますが、それは施主やデザイナーだけが悪いんじゃなくて物がなくなってしまう悪さもあるだろうなと思っています。

 

鈴木裕治
オンサイト計画設計事務所取締役パートナー/管理建築士

略歴 :関東学院大学建築学科環境デザインクラス卒業。ササキ・エンバイロメント・デザイン・オフィスに従事後オンサイト計画設計事務所設立。首都大学東京、明治大学兼任講師を経て、現在東京電機大学、千葉大学で非常勤講師として教鞭をとる。「星のや」、「横浜市役所」「あべのハルカス」などで「土木学会デザイン賞」「屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール」「グッドデザイン賞」など他多数受賞。登録ランドスケープアーキテクト/RLA、一級建築士、自然再生士、一級造園施工管理技師などの資格をもつ。

現在の活動:現在は設計活動と教育のほか、一般社団法人日本ランドスケープアーキテクト連盟(JLAU)の常任理事としてランドスケープの認知度を高め技術を向上する活動に取り組んでいる。

 

三谷徹(登録ランドスケープアーキテクト)
東京大学建築学専攻教授/オンサイト計画設計事務所アドバイザー

略歴:ハーバード大学GSDランドスケープアーキテクチュア修士、東京大学博士(工学)。オンサイト計画設計事務所設立後、滋賀県立大学、千葉大学、現職東京大学にて教鞭を執る。「風の丘」、「品川セントラルガーデン」、「柏の葉キャンパスシティー駅前広場」などで、グッドデザイン賞、日本造園学会作品賞、都市緑化機構賞など受賞。

現在の活動:設計活動とともに、大学にてランドスケープ学教育の研究室を開き、造園系、建築系の若い世代に、ランドスケープ設計論の教育を行う。

 

戸田知佐(登録ランドスケープアーキテクト・技術士)
オンサイト計画設計事務所取締役パートナー/多摩美術大学非常勤講師

略歴:東京造形大学美術学科卒業、ハーバード大学GSDランドスケープアーキテクチュア修士。オンサイト計画設計事務所設立後、「品川セントラルガーデン」、「諏訪2丁目建替計画Brillia多摩ニュータウンL A」「長野県立美術館」などで、グッドデザイン賞、日本造園学会作品賞、長野市景観賞など受賞。

現在の活動:都市広場、庭のデザイン、サイトプランニング、地域の森づくり、まちづくりなど、幅広いスケールのランドスケープデザインの実現に取り組んでいる。