「エクステリア」の知名度を上げていこう

「エクステリア」の知名度を上げていこう、という活動が全国で活発になっています。その中心となって動いているのが、「公益社団法人日本エクステリア建設業協会」(略称JPEX)と呼ばれている、エクステリア業界では最大の全国の施工店団体です。

11月28日を「いい庭の日」と命名し、この日の前後には、全国でたくさんのイベントが開催されました。各地でJPEX会員の人たちによるエクステリア業界の知名度向上を目指す取り組みには本当に敬服します。

その中で、特に注目したのが東北の活動です。東北では東日本大震災でも被災した宮古市内にて公立小学校の協力を得て、児童とその保護者による「エクステリア体験」を行ないました。エクステリア業界のメーカー数社の協力をいただき、施工店や職人が集まって、小学校で児童とその保護者に施工を体験して楽しんでもらいました。

具体的には、天然木材によるガーデンファニチャーの組立、左官・塗り壁、花壇まわりのレンガ積み、ガーデンニング講座など、子供たちにはさまざまな「エクステリアの仕事」を体験した一日になりました。この子たちの中から10~20年後、一人でもエクステリアの仕事に携わる人が出てくれば、とても大きな意義があります。東北では、こうした活動を積極的に継続していくことにしています。

業界の知名度を向上させることは、地域の一人ひとりが実践することでしか実現しません。国に頼ってばかりいる時代は終わりました。実践ベースでは、このようなJPEXの活動によって地域を支えることが必要です。

また、たくさんの課題を克服していく必要もあります。それはエクステリア業界が目指す「方向性」の話です。メジャーデビューを果たすための、課題の数々を検討していく必要があるのです。

例えば私が住宅業界に取材に行くと、「エクステリアって、つまりガーデンニングのことでしょう?」といまだに言われます。「エクステリア業界」と言っても、相手によってガーデン、ガーデニング、ランドスケープ、景観、外構、外柵など、いろんな解釈をします。その解釈の違いを埋めていく過程で、住宅と庭との関係性の本質が見えてくることも多い訳です。

当コラムでは今後、エクステリア業界の細かな動きも伝えるとともに、その背景にある課題の数々についても、取り上げていければと思っています。

著者プロフィール

株式会社住宅環境社
株式会社住宅環境社佐倉慎二郎
佐倉慎二郎 ㈱住宅環境社 代表取締役社長
住宅建材業界、エクステリア分野の専門誌記者・編集者25年。2006年より「月刊エクステリア・ワーク」を発行する㈱住宅環境社入社。2014年に代表取締役社長に就任。現在は住宅と外構・エクステリアを融合する「住宅と庭との一体化設計」と、非住宅分野である商業施設(コントラクト市場)における庭空間の市場開拓を探る「サードプレイス『庭・快適空間』」を発刊。ホテル、レストラン、商業施設などに向けての情報提供や、まちづくり、異業種コラボレーションに向けての提案を行っている。