理念と目標を達成しつつ、なお、謙虚にして、事業の「見える化を通じた月次決算」と絶え間ない勉強により、もっと、高みを目指す!(あるエクステリア専門店に学びたい・・・)

今年の8月時点で、今年度の営業利益がすでに2000万円出ているエクステリア専門店がある。同社の場合、過去5年間で一年間の営業利益が平均2500万円、そして今年度は下期への受注残と見込みと合わせて、4000万円の営業利益達成がほぼ確実となっている。

つまりこの数字は「今年度の残りは、もう何もしなくてもオーケー」というレベル。

こうなると、社員の士気は高まり、専門工事業者に対しても十分な仕事と報酬を与える余裕も生まれる。

同社がこれだけの利益を出せる理由には理由がある。まずは、ハウスメーカーとのつき合い方。同社はハウスメーカーの仕事で平均粗利35%を確保している。通常は20%と言われる販工店の利益率を、15%上回っている。

現在はハウスメーカー別の契約率(見積もり成約率)、利益率の把握を「見える化」することを整備中だ。「粗利が10%のメーカーもあり、担当によってばらつきがある。一覧表を作ればハウスメーカーごとの問題点、傾向などがすぐに把握できるようになる」という。

さらに社長は言う。「こっちから良い仕事を選べるようになりたいと思い、5~6年かけて、ずっと仕組みを作ってきた。今の時代、どの業種においても年商が10億円規模以下の会社で『景気が悪い』というのは、言い訳に過ぎない。いくらでも仕事はあるし選べる。

たとえば100億規模でやる会社ならば、景気が悪い、着工数が伸びないというマクロは影響されると思うが・・・」。

もちろん現在も経営に関しては模索中であり、社長は毎月、業界内外の経営勉強会に参加し、社員満足度、顧客満足度についての探求を欠かさない。その過程で学んだことを吸収し会社経営の「近代化」も行い、最近では社員の退職金制度を作り、職人の労災、社会保険などの整備も行っている。

また同社は経営重点実施事項として、ここ2年で安定経営のために月次決算を実施するようになった。すると毎月の傾向が手に取るようにわかり、次の仕掛けが打てるようになった。その仕掛けのひとつが、先述のハウスメーカーごとの契約率の見える化でもある。さらに2年前から建設業会計の導入を目指し、現在は試行錯誤しながらも、実行予算・

邸別決算の管理も行っている。社長が目指すのはさらにES(社員の満足度)の向上だ。

社長のトップダウンではなく、リーダー、サブリーダー制を創設し、リーダーに対して役割と責任と権限を設けた。これが社員20名、年間売上6億円の販工店の現在の姿である。

同社に限らず、エクステリア販工店には少なからず「経営理念」があるはずだ。

この経営理念を実行するためには、具体的な手法が必要となる。何もしなければ念仏に過ぎない。同社は経営理念を具現化するために、5か年計画を立てた。

それを年次計画に落とし込み、事業(社長がやりたいこと)を全部書き出して、優先順位を付けた。「選択と集中」を行い、 重要度、緊急度、難易度別に優先順位を決定し、これに基づき会社が回る仕組みづくりを志向した。「それでもまだ完ぺきではない。むしろ、やればやるほど、問題点が明らかになってくる」と話す社長。過去最高の上期のみで営業利益2000万円という数字を出したからこそ、さらに身を引き締めて「経営理念」の遂行を図っていきたいと、どこまでも謙虚な姿勢を見せている。

著者プロフィール

株式会社住宅環境社
株式会社住宅環境社佐倉慎二郎
佐倉慎二郎 ㈱住宅環境社 代表取締役社長
住宅建材業界、エクステリア分野の専門誌記者・編集者25年。2006年より「月刊エクステリア・ワーク」を発行する㈱住宅環境社入社。2014年に代表取締役社長に就任。現在は住宅と外構・エクステリアを融合する「住宅と庭との一体化設計」と、非住宅分野である商業施設(コントラクト市場)における庭空間の市場開拓を探る「サードプレイス『庭・快適空間』」を発刊。ホテル、レストラン、商業施設などに向けての情報提供や、まちづくり、異業種コラボレーションに向けての提案を行っている。

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