「我が社の強み」に学ぶ、5回目 後編「株式会社リバーフォレスト」

外構工事全般を手がけ、「高付加価値提案」で売上実績を上げているエクステリア専門店をご紹介いたします。

第5回目は、唯一無二のデザイン力で地元はもちろん他県・遠方からの依頼も絶えない福井県福井市の株式会社リバーフォレスト 代表の森川 圭造さんに「我が社の強み」について、お話をお聞きしました。

株式会社リバーフォレスト
代表・森川 圭造さん

https://www.riverforest.jp/

売上は「上げていくもの」じゃなく、「上がっていくもの」
無理して追い求めても、単に数字が目の前を通り過ぎていくだけにすぎない

利益を上げるための特効薬はない
面倒なことを一つずつ地道に行っていく

–前回、売上が上がっているのに利益が出ない状態になりかけたとおっしゃっていましたが、その時、どのようにして乗り切ったんでしょうか?

当時は、ちょうど創立10年くらい。リバーフォレストがデザインに強い会社という評価が定着し始めていて、受注件数は右肩上がりで増えていきました。それに伴って売上も順調に伸びていたんです。ですが、利益がついていかない。内心、これはまずいと思いました。このままの状態を続けていると、絶対どこかで大きな失敗をすると感じたんです。同じタイミングで、信頼していた社員の大きなミスでクレームの多発や報告や相談をせずに勝手な対応をしていたこともあり、社内のシステムを一から見直すことにしました。

まず手を付けたのが、在庫管理。売上ばかりを追いかけていると、余計なものを注文したり、無駄が出たりと管理がおざなりになってしまいます。そこで、社員全員で月1回、棚卸をして、何が残っていて何が入ってきたのかを徹底管理するようにしました。さらに、原価管理を社員全員で共有したり、各業務の必要タスクをチェックシートにしてダブルチェック体制を組んだりもしました。

また、ミーティングも頻繁に開くようにしました。部署間はもちろん、全社ミーティングもうちは同業他社より抜きんでて多いと思います。ミーティングでは単なる報告にとどまらず、課題や問題点を徹底的に話し合い、一つひとつ解決していくようにしました。

こうしたことを繰り返すうちに、利益が少しずつ上がるようになってきました。たしかに手間も時間もかかります。でも、確実に、会社の足元を固めることにつながるのです。利益を上げる特効薬はありません。面倒に思えても、毎日地道にやり続けるしかないのです。

–その後は特に問題もなく、利益を伸ばされていますか?

おかげさまで、昨年は過去最高の売上を計上し、利益もしっかり上がりました。ただ、今期は少し売上目標を下げようと思っているんです。でも利益はそのままの額をキープしたい。そのためにはどうするか、というのが今の課題です。

この業界でありがちなのが、売上が上がると利益が減るという現象です。無理して売上を上げると、クレームが来たり、変な在庫を抱えたりして、結局は残らないんです。売上は 「上げる」のではなく「(結果として)上がっていく」のが望ましい。会社の土台がしっかりとしていないのに売上だけがあがっても、それはただ、数字が目の前を通り過ぎていくだけです。売上を上げるためだけの施策を考えるのではなく、しっかりとした社員を育て、きっちりと仕事ができる環境を整えて、利益が確保できる構造をつくる。そうすれば、売上はついてきます。

–売上を落としても利益が上がる――これはなかなか難しいことですね。

そうですね。こうすればいいという正解はありませんから、リバーフォレストとしての取り組みを模索していかなければいけないところですが、今見えているところで言えば、無駄をなくすことと、無理をしないことの2点でしょうか。

無駄については、先ほど言った原価管理の徹底や、見積りの自動化など、いくつかの取り組みをすでに行っています。

無理についてですが、リバーフォレストでは、一つの案件に関して営業、設計、現場管理の3人でチームを組んで担当するようにしています。こうすれば休日が確保できるんです。誰か1人が責任を負う体制では表向きは休日になっていても、電話がかかってきたりします。その人しか知らないからしょうがない、って。でも、それでは体力的に続かないし、モチベーションも保てない。結果、仕事のクオリティも落ちてきます。それがミスにつながって案件が止まってしまったりすると取り返しがつきません。関わっている人材が3人いればミスも減ります。また、もし完成後誰かが退社しても、その案件をずっとアフターフォローし続けることができます。

単なる“御用聞き”ならうちでやる意味はない
お客様が、喜んで紹介したくなる仕事をめざす

–無理をしないというというのは、お客様との関係性でも言えそうですね。

その通りです。売上を上げるために案件数を増やそうと思うと、どうしても受けるべきではない案件に手を出してしまいます。リバーフォレストでは原則として、電話をいただいた際に、「最初のお打合せの際にご夫婦で来ていただけますか?」と聞くんです。来られない方はお受けしませんとお伝えするためです。また、初回のお打合せでは主にヒアリングを行うのですが、その際に「図面があればお持ちください」と言います。可能であれば立面、平面一式あれば尚良いですね。手元にお持ちでなければ仕方ありませんが、PCやスマホのデータであるから、とその場で見せる方はやっぱりお断りします。あと、「とりあえず」という言葉を使われる方の案件もお受けしません。「とりあえず、見積りだけ…」と言われても、その場でお断りするんです。

–なかなか手厳しいですね。

もちろん、居丈高に「今すぐお帰り下さい」と言うわけではないですよ。そこは丁寧に、申し訳なさそうに(笑)、「他の会社に依頼されたほうがいいのでは」と申し上げます。なぜそうするのかというと、こうした案件を受けると結局はクレームに繋がったりする率が高いんです。仕事というのは信頼関係で成り立っていますが、信頼関係は一方通行では成り立ちません。お受けした仕事に対してリバーフォレストは誠意をもって応じます。だから、そうしたいと思えるお客様の案件しか受けないようにしているんです。

逆に、そこまで絞り込むことによって、しっかりと向き合ってくれるお客様とは本当に良好な関係を築くことができます。設計でも施工でも、リバーフォレストはかなり意見を言います。時にはお客様の要望とは違うものを勧めたり、やらないほうがいいと伝えることもあります。一方でお客様の要望には入っていなかったことを提案に加えたりもします。もちろん、理由を丁寧に説明して、理解してもらえる努力は惜しみません。そうしたコミュニケーションを、リバーフォレストがお断りしなかったお客様は楽しんでくれるんです。

リバーフォレストは、お客様が望んだ通りのものを忠実に形にする「御用聞き」ではありません。お客様からのヒアリング内容と、これまでの経験を合わせて、プロとして一番良いと思われる提案をするのです。

その結果、多くのお客様が「やっぱりリバーフォレストさんの言うとおりにして良かった」と言ってくださる。しかもお引渡しの際だけじゃなく、何度も言ってくださる方も少なくないのです。「時間が経てば経つほど、この庭は良くなるね」と言う言葉は、何ものにも代えがたい喜びです。そしてそういう方は、別のお客様を紹介してくれるんです。「自宅へ招いた友人・知人に、自宅の庭を褒められた」と言って、にこにこしながら紹介してくれますよ。

お引き渡しの際が完成ではなく、住み続けるうちにさらに居心地が良くなっていく外構・庭をめざしている

–そこまでお客様に喜んでもらえる理由はどこにあるとお考えですか?

これはやはりデザイン力だと思います。リバーフォレストの外構や庭はかっこいいんです。そのかっこよさというのは、単に見た目ではなく、機能性があるということです。機能性とは使いやすいことに加え、居心地が良いということも含んでいます。つまり、施工から時間が経って庭で過ごす時間が増えていくなかで、じわじわとその良さを再確認してもらえる。季節に応じて、天気に応じて、家族の変化に応じて、「ああ、この状態を見越してリバーフォレストは提案してくれたんだな」と気づく。そんなしかけを随所に盛り込んであります。

今後は新卒採用での採用も視野に入れて
さらに周囲に信頼され、受け入れられる会社にしていきたい

–たしかにそんな庭なら、誰かに紹介したくてたまらなくなりますね。最後に、今後めざすところを教えていただけますか。

リバーフォレストを立ち上げた時の目標はすでに達成されました。売上にしても、利益にしても従業員にしても。外構や庭に対するお客様の意識も、徐々に変わりつつあります。

じゃあこの後、ひたすら売上や利益を追求していきたいかというと、実はそうでもないんです。新しい案件、特に以前施工したお客様からの紹介案件が嬉しいのは、数字が上がるからだけではありません。リバーフォレストが持っている「外構や庭に対する思い」を、お客様や工務店に理解してもらえたことに対する喜びです。会社が小さく、リバーフォレストという名前があまり知られていなかった頃は、提案が受け入れてもらえないこともよくありました。「このほうが使いやすい、居心地が良い」と思っても、実績がない会社の言うことはなかなか聞いてもらえない。だから、一軒ずつ地道に、“リバーフォレストの考える外構・庭”の作例を作り上げてきたんです。それもこちらの独りよがりではなく、お客様に喜んでもらえるものを。紹介が多いということは、そういうことなんです。

今後の目標は、リバーフォレストが地域でさらに信頼されるようになること。地元や県外の高校・大学卒の新入社員を迎えられるくらいにはなりたいですね。加えて、社員教育や社内システムの整備にももっと力をいれたいと思っています。会社が成長すれば大型案件も増えてきますが、それに対応できる体制を作っておかなければ、すぐに足元をすくわれます。資金が潤沢であればあるほどできることも増えるので、大型案件の現場は面白いのですが、それをミスなくやり切り、最終的に満足してもらわなければいけないというプレッシャーもまた増えます。そんな現場を心から楽しめるようになるよう、私自身も、そして会社も成長していければと思います。