マーケティング&セールス概論①-2

マーケティング&セールスのフレームワークと公式

前回の記事では、

  • マーケティング=「見込み客」を集め、「信頼関係」を築くための全ての活動
  • セールス=「見込み客」を「顧客」に変える活動
  • マーケティング5:セールス1程度の割合で、マーケティングとセールスの活動を分けて考える。

というお話をお届けしました。

今回は、マーケティングとセールスに絡んだ、売上げに直結する公式をお届けします。いろいろな公式がある中で、ここでは押さえておいてほしい基本的な3つをお届けします。

 

1.売上げ= 顧客数 × 客単価 × 購入頻度

この公式は、基本中の基本です。売上げというのは、顧客数 × 客単価 × 購入頻度で決まるというものです。

つまり、どれだけお客さんになったか?同時に、その一人のお客さんがどのくらいのお金を使うか?そして、何回、頼んでくれるか?ということです。

なので、

  • 客数を増やそうとするのか?
  • 客単価を上げようとするのか?
  • 購入頻度を上げるのか?

その目標に変わって、やるべき施策も変わってきます。

ただし、何かひとつを一気に上げるのはすごく大変です。なので、全体を少しずつ上げるのが、鉄則になります。

例えば、売上を2倍にするのに、顧客数だけを2倍にするのは大変です。ですが、顧客数を1.26倍、客単価を1.26倍、購入頻度を1.26倍にすると、1.26×1.26×1.26=約2倍になります。ひとつの項目を2倍にするのは大変ですけど、それぞれ2~3割程度のUPを目指すのは、ぐんとハードルは低くなりますよね。

顧客数を増やすのか?客単価を上げるのか?購入頻度を上げるのか?その目的によって、やり方も大きく変わり、すべきことが見えてきますよね。

“顧客数増”は、最もお金と手間がかかる!

顧客数・客単価・購入頻度、この3つの中でも、最も経費と手間が掛かるのが、顧客数を増やすことです。例えば、通常、お客さんを集めるためには、折り込みやポスティング、雑誌掲載など、宣伝広告を行いますよね。それにはお金が掛かります。反対に、無料で集めようとすると、今度は手間が掛かり、時間を費やしてしまいます。

なので、まずは顧客数を増やすよりも、比較的に簡単な、客単価や購入頻度を上げることにチカラを入れてみてください。特に、小さな会社であったり、経費(広告費)を掛けられないという状況なら、なおのこと、客単価や購入頻度を上げることが求められます。

客単価を上げるには?

客単価を上げるには、シンプルに利益を増やし、値上げするのが一番簡単です。

利益が残らないと悩んでいた、とある工務店の例では、値上げの施策として、たんに利益分を増やし、値上げしていきました。Aさんで少し値上げし、次のBさんでさらに少し値上げし、その次のCさんでまたさらに少し値上げしていくという、少しづつ上げてお客さんの反応をうかがいながら、適切な価格帯を探っていったのです。

どの業界もそうですが、意外とお金のメンタルブロックが働き、勝手に値下げして売ってしまうケースは多々あります。値下げして価格競争に巻き込まれ、倒産する会社は多々例がありますが、その逆は聞いたことがないです。

購入頻度を上げるには?

購入頻度を上げる方法にも、いろいろありますが、基本になるのは、顧客との日頃からの接点です。接点を増やすことで、信頼関係をつくっていくということです。なので、お金を掛けるというよりは、手間が掛かる施策になりやすいです。ブログやSNSなどのネット上での接点もあれば、イベントなどのリアルな場での接点もあります。

接点が増え、信頼関係ができ、あなたをプロとして位置付ける関係性が築けたなら、そんなあなたからの提案によって購入頻度が高くなることも可能でしょう。

 

続いて、2つ目の公式です。

2.売上げ = Lead × Cv × LTV

1でお伝えした式と似ているのですが、売上げは、Lead(リード) × Cv(コンバージョン) × LTV(ライフタイムバリュー)でも決まります。

Lead(リード)

Lead(リード)とは、まだ依頼していないけど、今後依頼してくる可能性のある全てのお客様候補を指します。つまり、見込み客のことです。

Cv(コンバージョン)

Cv(コンバージョン)とは、Lead(見込み客)を 「顧客」に転換していくことです。コンバージョン率(転換率)として、確率で表すことが多く、例えば、見込み客100人の内、5人が依頼したなら5%ということです。これは、提案する内容によっても変わりますし、集めている見込み客の質によっても変わります。営業ではクロージング率とも言いますね。

LTV(ライフタイムバリュー)

LTV(ライフタイムバリュー)とは、生涯顧客価値とも言い、一人のお客さんがあなたに生涯支払ってくれる金額を指します。エクステリアやリフォームは、注文住宅のように一生に一度というビジネスモデルではなく、同じ箇所はすぐにはないにしても、関連して他の箇所を依頼するケースは多々あります。

エクステリアであれば、門まわり、アプローチ、ベランダであったり、リフォームであれば、キッチン、浴室、窓というように、お客さん一人から複数の箇所が見込めますよね。

 

2の公式での考え方は、どれだけ見込み客がいて、どれだけお客さんに変わるか、そして、お客さんに変わったらそこからライフタイムバリューをどう増やしていくかと考えるわけです。

これも先程の1の、顧客数・客単価・購入頻度と同じで、リードをとにかく増やすのか?コンバージョンを上げるのか?ライフタイムバリューを増やしていくか?どこを重点的に置くか考えてみましょう。

 

3.集客で考えるべき2つのこと

3つ目は、公式というより、集客で考えるべき重要なポイントです。集客においては、この2つをとにかく徹底的に考えましょう。

1.見込み客はどこにいるのか?

まずは、ターゲットを明確にしてみてください。例えば・・・

  • エリア :○○市、○○市
  • 年齢シニア世代?子育て世代?・・・
  • 所得 :世帯収入◯◯◯万円・・・
  • 好み :自然素材、DIY、モノトーン、和・・・
  • 性格 :説得されるより、納得したい、集まるのが好き・・・
  • レベル :手を掛けたくない、自分でも作ってみたい
  • 特徴 :所有意識が弱く、モノをあまり買わない・・・

などなど、ざっくりとでもかまいませんので、ターゲットを定めることです。

そして、想定したターゲット客が、どこにいるのか?を考えます。

  • どんなお店によく出入りするのか?
  • どんな本・雑誌を読んでいるか?
  • どんなインテリアを選んでいるのか?
  • どんなWEBサイトを見ているのか?
  • どんなスキルを身につけようとして、どんな講座に通っているか?
  • どんな趣味を持ち、どんなサークルに加入しているのか?

…etc.

例えば、これまでのお客さんがよく見ている共通のサイトや雑誌があるなら、そこに広告を出せば、むやみに宣伝広告するよりは効果的になりやすいのです。

 

そして、もっと効果的なのは、次のこちらです。

2.既に見込み客を持っているのは誰か?

HUBとなる人は誰か?を探すことです。つまり、(ライバル以外で)あなたの見込み客を持っている会社・お店・人を探すということです。

  • HUB=価値ある人脈を持っているキーマン

あなたがターゲットとしている見込み客のリストを、持っている人にお願いをして、紹介してもらったり、協業することで、見込み客を獲得していく方法です。

お願いする相手の信用と信頼を活用させてもらえるため、反応も高くなります。身近なところだと、近い業種である工務店や設計事務所がHUBに該当しますよね。

例えば、

  • エクステリアに弱い工務店と連携する。
  • エクステリアの設計に強い設計事務所と連携する。

というように協業することで、ひとりのお客さんに対して、より価値がある提案をすることにも繋がります。

この時に大事なのは、紹介をしてもらいやすい状況にしておくことです。カタログ、パンフレット、WEBページなど、HUBとなる相手側が手間を掛けなくても紹介しやすい状況にしておくことが求められてきます。

また、HUBとなる相手側が、あなたのことを紹介することで、得られるメリットを提示してあげましょう。例えば、先にこちらから何かを与えてあげるとか、紹介するだけでも信用度が上がる内容だとか、紹介して成約したらインセンティブとか etc…

あなたと同じお客さんをターゲットとしている会社・お店・人はいませんでしょうか?ぜひ探してみてください。

(つづく)

著者プロフィール

井内 智哉
井内 智哉株式会社デザインアトラクト
2013年6月より、住宅業界専門のマーケティングコーチとして独立。現在は、工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを行う。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。

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