続、「ツーステップマーケティング」の具体的な進め方について

マーケティング&セールス概論②-2として、『続、「ツーステップマーケティング」の具体的な進め方について』をお届けします。

前回のおさらい

前回の内容では、ツーステップ(2ステップ)マーケティングという、ハードルの低い入口を設けておいて、その入口からゴールとなる商品に導くための手法を紹介しました。

簡単におさらいしますと、ツーステップマーケティングを導入するメリットは、高額な商品や分かり難い商品が、売りやすくなります。なので、エクステリアやリフォーム、注文住宅など、住関係の商品にも適した方法です。

エクステリアやリフォームを、いきなり「いかがですか?」とセールスして、契約にはならないですよね?

住関係の商品は、お客さんから見て複雑すぎてわかりにくかったり、必要な説明が多かったりします。少し価格が高くなると、なかなか価値が伝わらなかったり・・・また、エクステリアやリフォームは、注文住宅ほどではないにしてもそれなりに費用が掛かります。つまり、即決や衝動買いがしにくいハードルの高さがあります。

このハードルの高さを、低くしていくのに有効なのが、ツーステップマーケティングなのです。そして、そのハードルを低くする商品を、フロントエンド商品(集客商品)と呼び、その後の本命商品を、バックエンド商品(収益商品)とも呼びます。

身近な業種のフロントエンドとバックエンドの例です。

業種 フロントエンド商品
(集客商品)
バックエンド商品
(収益商品)
飲食店 ランチ 夜(コース等)
無料体験 有料レッスン
通販 無料サンプル 定期購入

 

リフォームを受注するまでの障害

リフォームの受注していく上で、お客さんとの壁になっていくのは、

  • そのリフォームが、我が家にとってどんなメリットがあるかわからない。
  • 料金と内容が適切なのかわからない。
  • 信頼できる会社かどうかわからない。そもそもその会社でなければならない理由が見当たらない。

などが、どの会社も共通して挙げられます。これらはエクステリアでも同じことが言えますね。

では、これらの壁に対して、ツーステップで仕組みをつくっていきましょう。

ツーステップ(2ステップ)マーケティングの流れ

おおまかな流れとしては、

  1. フロントエンドを提案・提供する
     ↓
  2. フロントエンドによる受注や獲得
     ↓
  3. 信頼とメリットを感じてもらい、バックエンドであるリフォームの提案
     ↓
  4. リフォームの受注

このようなシンプルな流れです。

フロントエンドを何にする?

フロントエンドとは、ターゲット客にとって、リスクが少なくコストが安くいなど、手を出しやすいお得な商品を指します。あくまでも集客商品になるため、注意を惹きやすいものでないといけません。

大きく分けると、有料と無料がありますので、その例を紹介します。できることなら、どちらも取り組めると効果的です。

無料の場合

モノではなく、ターゲットとしている顧客の為になる情報を提供します。

例えば、「失敗しないリフォーム会社の選び方」や、「暮らしが快適になるリフォーム箇所」などの、小冊子やレポートです。媒体は、印刷物もあれば、PDFなどのデータ形式、またはメールマガジンもあります。

ターゲットとしている顧客層の為になる情報を、先に提供することで、「リフォームをしようかな?」と思っている方が、あなたの会社に対して、興味を持つ可能性が高くなります。

流れは、資料請求と同じですが、一般的な資料(会社カタログ)と異なるのは、ターゲットとしている顧客の為になる情報を提供しているかどうかです。

どんな内容にすべきか?

提供する内容は、”気付き”を与えることを意識してみてください。

リフォームのノウハウ提供など、一般の方がまだ知らない役立つ情報や、見えていない問題に気付かせてあげることが求められます。なので、「失敗しないリフォーム会社の選び方」という一般的なものだと、もう通じないところもあるかと思います。その場合は、競合が届けていない”気付き”を探す必要があります。

この”気付き”は、先生と生徒や、医者と患者の関係のように「プロとしての立場」として認識してもらうために必要なことなのです。

会社概要だけをお送りしても、「こんな会社なんだ」で留まりますが、知らなかった気付かなかったノウハウを知れたり気付かせてもらえたなら、その会社を他より一目置きやすいですよね。

有料の場合

続いて、フロントエンドを有料で行う場合です。

有料の場合は、リフォームを行うことになります。サービスや商品の提供です。

フロントエンド商品の目的は、“利益を出すこと”ではなく、その後のバックエンドの受注に繋げるための存在です。なので、目に留まるような提案内容が求められます。わかりやすい例を挙げるなら、「30%オフ」などの価格での訴求でしょう。

さらには、数あるリフォームの種類の中でも、フロントエンドにもってくる商品にはコツがあります。

フロントエンド商品のコツ

少額で、緊急性や高いことや、即効性が求められる内容や、競合が手を付けないけどニーズがある小さな修繕などが望ましいです。例えば、エクステリアでいうと、草取りや草刈り、芝生の手入れ、立木の手入れ、ウッドデッキの塗装など、そのほか、雨漏りや水漏れ、電気関連の接触不良、建具の立て付け不良、エアコンの掃除など・・・

反対に、ユニットバスやキッチンなどは、金額もそれなりにしますし、緊急性も高くなることはありませんので、フロントエンド商品には向いていないのです。

フロントエンド商品で得られるもの

フロントエンド商品で得られるものは、決して金銭的な利益ではありません。目を引くための価格訴求をしていけば、ギリ赤字かトントンです。

ですが、少額でもその仕事をきちんとこなすことで、依頼者からはプロとして評価され、信頼してもらえます。そして、作業している間は、

  • 依頼者と会話ができるコミュニケーションの時間
  • 依頼者の生活環境や使用している住宅設備の情報

などを得ることができます。

「リフォーム」と言っても、細かく分けると、

  • キッチン
  • 浴室
  • トイレ
  • 内装
  • 玄関
  • 外壁
  • 屋根
  • 外構

など、たくさんありますから、フロントエンド商品を提供しながら、その辺りもお話して、確認してみてはいかがでしょうか?お話するだけで、無理に売り込む必要はありません。

これらは、有料だからこそ得られる貴重さがあります。

手に入れた顧客情報をバックエンドへとつなげる

無料・有料の方法で、手に入れた顧客情報に対して、後は、さらなる気付きを与えたり、親近感を与えたりして、その後も関係構築とセールスをしていきます。

ここで多くの会社が失敗しているのは、その後の関係構築を怠っていることです。

請求者の多くは、今すぐのリフォームではない方も多いです。1年後かもしれませんし、タイミングがあえばという方もいるかもしれません。せっかく気付きを与えて、関係性を深めるチャンスを得ているのですから、その後の情報発信も継続していきましょう。

成約のお客さまにも同じことです。一度小さな工事で接点を持てたからといって、すぐに大きなリフォームへと繋がることは少ないです。同じように、情報発信などしていき、関係性を深めていきましょう。

そして、イベントやキャンペーンなどのタイミングで、無料相談などのセールスを働きかけていきましょう。関係性が深まった相手なら、セールスの案内も受け止めてもらいやすくなりますよ。

余談

私も以前、名刺交換した工務店から、「失敗しない系」のメールマガジンが、勝手に送られてきたことがあります。内容は、ネットで検索したら出てくる当たり障りのない情報で、それを数回に渡り配信してきました。また、そのテーマ終了後は、何も送られてこなかったのです。

ターゲットが違う、勝手に送る、内容が薄い、その後のフォローがない・・・悪い例なので、気を付けてください。

また、「無料方法」全般に言えることですが、お金を掛けない場合でも、それ相応の手間を掛けなければ上手くはいかないです。本来、掛けたいくらいのお金に相応するほどの、手間を掛けているか?ということですね。

まとめ

フロントエンドはあくまでも集客用の商品ですので、金銭的な利益は生みません。

そのため、フロントエンドで顧客を集めて、バックエンドで収益を生み出していく。その流れをしっかりと作っておきましょう。

リフォームは、参入障壁も低い分、悪徳な業者も多々います。リフォームを依頼する側の立場に立って考えてみると、見ず知らずの人が飛び込んできて、自分にとって役に立つのか、立たないのかわからない商品・サービスを押し付けられるのは、怖いですよね?

そんな状況下でも、ツーステップマーケティングは、依頼者側の行動のハードルを大きく下げることができます。ですが大事なのは、「不安なく依頼してもらおう」という、相手のための施策であることなのです。

<つづく>

著者プロフィール

井内 智哉
井内 智哉株式会社デザインアトラクト
2013年6月より、住宅業界専門のマーケティングコーチとして独立。現在は、工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを行う。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。

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