自社が優位になるポジショニングの方法

前回は、差別化を行う上で大事なポジショニングの基本についてお届けしました。

今回は、その精度を高める方法についてお届けいたします。

1.重なりを探す

ビジネスとして行っていくにあたり、顧客や市場、そしてライバルとの関係性を理解しておいた方が、色々な施策も優位に進められます。

優位に進められる立ち位置(ポジション)を、下記の図を元に説明すると、

  • 顧客や市場が求めていて、
  • ライバル企業がやっていない、もしくは勝てる、
  • 自社で実現できる

という黄色の部分を探すということでもあります。

以下、その重なりを、顧客や自分(自社)の中から探す方法を、紹介していきます。

2.重なりを顧客から見つける方法

①見込み客から引き出す

まだ契約にはなっていない見込み客に対して、イベントや相談会などで、以下のような質問をしてみてください。

Q「何をキッカケで来場しましたか?」

・・・チラシやホームページなど、何に惹かれたのかを聞き出すということです。

Q「○○さんにとって『いい●●●●』とはどんな●●●●ですか?」

・・・●●●●に入るのは部位です。例えば、「いいキッチンとは?」と聞けば、そのお客さんが描いている理想のキッチン像がわかります。エクステリアでも使える質問です。

②OB顧客からから引き出す

すでに引き渡しをしたOB顧客にインタビューなどを行い、願望や決め手や聞き出します。

Q.「(リフォームに)どんなことを求めてましたか?」

・・・こうなってほしいという願望を聞き出すということです。

Q.「何が決め手になりましたか?」

・・・その答えは自然と自社の強みになります。他社と見比べていたなら、なおのことです。

3.重なりを自分の中から発見する方法

ここの部分は個人の熱量を引き出すことでもあるので、経営者や個人に大きく依存する小さな会社ほど影響があります。以下の質問を自問自答してみましょう。

Q.「自分にとって『いい●●●●』とはどんな●●●●?」

・・・例えば、自分にとって『いいリフォーム』とはどんなリフォームなのでしょうか?価格帯や品質、作業工程など、自身がお客さんになった時のことをイメージしてみるといいです。

もしあなたが室内犬を飼っていたら、きっと愛犬にとっても良くリフォームしたいという視点になりますよね。そして、それは自然と、同じように室内犬を飼っている人にとって魅力的なことになります。

 

4.より磨くための3つの方法

これまでお伝えした方法を、より高めるための方法を3つ取り上げています。自社の立ち位置を見失ったり、差別化に行き詰った時などに取り入れてみてください。

  • ①.『絞り込む』か、、、
  • ②.『逆をいく』か、、、
  • ③.『協調する』か、、、

①『絞り込む』とは、

ポジショニングの3大要素である、

  • 『誰に』(ターゲット)
  • 『何を』(ベネフィット)
  • 『どうやって』(メソッド)

を、それぞれさらに絞り込んでいくということです。

(1)『誰に』(ターゲット)の考え方

ターゲットとして定める情報を、より具体的にしていくということです。

  • エリア:○○市、○○市
  • 年齢:シニア世代、子育て世代・・・
  • 所得:世帯収入●00万円・・・
  • 好み:自然素材、DIY、モノトーン、和・・・
  • 性格:説得されたくない、集まるのが好き・・・
  • レベル:手を掛けたくない、自分でも作ってみたい
  • 特徴:所有意識が弱く、モノをあまり買わない・・・

架空で定めるより、これまでのOB顧客や現在付き合いのある見込み客など、個人情報を把握している人を一人浮かべるとやりやすいです。

(2)『何を』(ベネフィット)の考え方

提供できる価値を、より具体的にしていくということです。

  • ニーズ:どんなニーズ(悩み・願望)をどのように満たすのか?

⇒ 予算が少なくても。既成品ではないオシャレさ。工事が早い。

  • クオリティ:どのレベルまでの到達度を提供するのか

⇒ 施工レベルは?対応はベテランか若手か?DIY?お任せ?リーズナブル?高級?

  • エモーション:提供できる感覚的な満足感は何?

⇒ 安らぎや癒やし。スッキリ。ワクワクする。

(3)『どうやって』(メソッド)の考え方

(1)の顧客に(2)のベネフィットを提供するために、どんな手法やノウハウで提供できるのか?または、その他で差別化できるサービスや特徴を具体的にしていくということです。

例えば、物だけの交換ではなく、ライフスタイルの提案まで行うことや、カタログから選んでくださいではなく、お客さまに合わせたオリジナルを楽しめる方法をお話ししたりなど。

②『逆を行く』

『逆を行く』というのは、ライバルの逆を行くことです。

圧倒的ライバルがいるとか、多数のライバルが同じことをしているなら、あえてその真逆を行くと有効的になる場合もあります。

例えば・・・

  • 打ち合わせが男性ばかり ⇒ 女性対応
  • ベテランばかり ⇒ 若い世代で対応
  • 感性を武器に若さで対応 ⇒ 経験値のあるプロフェッショナルで対応
  • カタログから選んで ⇒ 自由な対応
  • 安い自然素材 ⇒ 質のいい自然素材
  • 契約を急がされる ⇒ 契約は納得がいくまで待つ

などが挙げられます。

③『協調する』

『協調する』というのは、相乗効果や苦手分野を担うことです。

例えば、、、

  • 打ち合わせや提案が苦手で、自社でも担える人がいないのであれば、外部の設計事務所やコーディネーターと提携して、その部分を担ってもらう。
  • 資金計画のプラン力が低いのであれば、FPの方と提携して、その部分を担ってもらう。

などが挙げられます。

 

いかがでしたか?前回と今回は、ポジショニングについてお届けしました。集客ができない、思ったように商品が売れないなど、このような悩みのほとんどはポジショニングができていないことに原因があります。もしあなたが今後そのような悩みを抱えた時は、自分たちの立ち位置を冷静に考えて見つめ直してみましょう。

(つづく)

著者プロフィール

井内 智哉
井内 智哉株式会社デザインアトラクト
2013年6月より、住宅業界専門のマーケティングコーチとして独立。現在は、工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを行う。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。

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