都市公園法改正によるポテンシャル。公園や社会福祉施設などで「稼ぐ」プレーヤーが待ち遠しい。

いま、全国各地で都市公園の中に、当たり前のようにカフェやレストランなどのショップが新設されるようになってきた。民間企業が積極的に参入し、新鮮な食材やスイーツなどを売りにして、たくさんの集客によって賑わいを創出している。

都市公園法改正によるポテンシャル。公園や社会福祉施設などで「稼ぐ」プレーヤーが待ち遠しい。

この背景には、2017年6月の都市公園法改正がある。同法改正以前の公園は、経済成長や人口増加を背景とし、緑の「量」を増やすことが重要視されてきた。しかし国はこの方針を変えて、2017年以降は、「緑の多機能性」を最大限引き出す、という政策にシフトしたのである。

この法改正の大きな目玉は、「Park-PFI」(公募による設置管理制度)という新しい制度が導入されたことだ。「Park-PFI」とは、カフェやレストランの設置・運営管理者を民間事業者から公募選定し、認定を受けた事業者は、最長20年間の管理契約が可能となるというもの。建蔽率の特例も適用され、休養・運動施設などと合算して10%まで上乗せできる。これによって、多くの民間事業者は、都市公園の中で収益が上がる商業施設を開設しやすくなった。こうしたメリットを事業者に付与する代わりに、地方公共団体は、その店舗が上げた収益から公園の維持管理費の一部を賄う。

都市公園法改正によるポテンシャル。公園や社会福祉施設などで「稼ぐ」プレーヤーが待ち遠しい。

事業者にとっては、公園に出店できることによって、人気都市の駅前やロードサイドのテナント出店よりも家賃や維持費が低コストで抑えられるというメリットがある。その象徴的存在がコーヒーチェーンのスターバックスだろう。スタバは東京の上野公園をはじめ新宿中央公園、さらには群馬県前橋市の敷島公園、福岡市の大濠公園、大分県別府市の別府公園など全国各地の都市公園にて出店をしており、いまや〝各地の景観の良い都市公園に行くところスタバあり〟の状態だ。

また官民連携での公園活用として先駆的なところでは、天王寺公園(大阪市)、の〝てんしば〟、そして南池袋公園(東京都豊島区)などが知られている。この中でも、特に〝てんしば〟は、民間不動産会社がエリアの再整備、管理運営の負担を自治体に代わって行う代わりに、カフェやレストラン、こどもの遊び場、ドッグラン、コンビニなどの収益施設を設置。平成27年から20年間の管理契約を結んでいる。この結果、かつて野宿者なども目立っていた地域の治安や雰囲気も良くなり、家族連れや子供も安心して歩ける場所が創出されたことで一躍注目されることとなった。

こうした状況の中、設計事務所や景観関連の商材メーカーなどパブリックデザインの業界では現在、これら官民連携の取り組みについて〝稼ぐ公園〟〝儲かる公園〟などと呼んで、新しい街づくりの手法の一つとして注目している。

また、官民連携では、今後保育所などの社会福祉施設の整備が進むことも注目される。現在、東京、福岡、宮城などの主要都市の公園において、待機児童問題解消の切り札としての保育所開設が進んでいる。これは都市の公園が、〝儲かる〟ということだけでなく、社会課題を解決する存在としても活かされるという事例であろう。ちなみに国土交通省の最新の調査(令和2年7月時点)によれば、公園を活用した保育所は全国25公園あるというから、こちらの動向にも注目したい。

ただ、こうした官民連携の取り組みは、まだまだ氷山の一角であるのが現状だ。国土交通省によれば、日本の公園ストック量の総合計は令和2年時点で「15万か所」あるが、このうち上記のような大規模都市公園は「4000か所」に過ぎない。緩衝緑地帯(1万2000か所)を除くそれ以外の小規模な公共空間は、「13万か所」と公園ストックの大半を占めており、今後は、こうした小さなパブリックスペースをどのように整備していくかが課題となる。こうした地域散在するストックを活用していくには、大手コーヒーチェーンだけでなく、地域のエクステリア事業者、造園業、景観産業に携わる多くのプレーヤーの参入が待ち遠しいと思うのは筆者だけであろうか。

都市公園法改正による、“稼ぐ“公園や”社会問題を解決する”福祉施設

著者プロフィール

株式会社住宅環境社
株式会社住宅環境社佐倉慎二郎
佐倉慎二郎 ㈱住宅環境社 代表取締役社長
住宅建材業界、エクステリア分野の専門誌記者・編集者25年。2006年より「月刊エクステリア・ワーク」を発行する㈱住宅環境社入社。2014年に代表取締役社長に就任。現在は住宅と外構・エクステリアを融合する「住宅と庭との一体化設計」と、非住宅分野である商業施設(コントラクト市場)における庭空間の市場開拓を探る「サードプレイス『庭・快適空間』」を発刊。ホテル、レストラン、商業施設などに向けての情報提供や、まちづくり、異業種コラボレーションに向けての提案を行っている。