【前編】中心市街地区全体を「えき≈まち空間」と位置付けた都市整備計画で、沿道の高架下商店街の刷新に合わせて街路空間を一新。 【海外研究に裏打ちされた神戸三宮サンキタ通り、サンキタ広場の都市デザイン事例】

Q.小野寺康都市設計事務所さまの設立はいつでしょうか。

事務所の設立は1993年です。一人で立ち上げましたが、仕事はチームを組む場合が多く、固定で連携しているメンバーが数人います。建設コンサルタント数社をはじめ、インダストリアルデザイナー、交通専門家、建築家、プランナーなどプロジェクトに応じてメンバーが入れ替わります。

 

Q.大学でランドスケープを学ばれたのでしょうか?

都市デザイン、都市設計という言い方をしています。ランドスケープというと日本では造園系の感じがしますが、私はどちらかと言えば「都市設計」なので、建築・土木系。

東京工業大学の社会工学科で学びました。大学では、建築、土木、社会工学を合わせて第6類と呼ばれていました。建築と土木ではない領域が社会工学であり、都市計画もあれば人文・社会学、経済学も含まれていました。要するにジェネラリストを育てる学科です。その中に観光や都市計画、都市デザインなどの研究室があり、私は最終的にはデザインへと進みました。つまりランドスケープという流れではなくて、建築・土木分野の延長で「都市」に入っていった形です。

私の先生は中村良夫先生(現・東京工業大学名誉教授)。東京大学の土木で景観を専門にされていた先生ですから土木系といってもいいかもいいかもしれません。

私の事務所は、計画・設計から、現場で石材の仕上げ一つまで全部決めて実際に空間を立ち上げるというとこまでやります。

 

Q.施工監理はしないのでしょうか。

日本では、私がやることは土木になります。街路、公園、港湾、水辺、橋梁などは日本では全部「土木」です。そして土木は、施工監理を出さない(業務発注しない)のです。建築では、設計者へ施工監理業務を発注しますが、土木では行政組織自体が現場監理をするのが伝統になっています。

ただデザイン性の高いものの場合、実質的な現場監理を(デザイン監理や現場監修という言い方をしますが)やっと、最近業務にしてくれるところが出てきました。

会社を作って丸10年は、そういった現場監理は完全に手弁当でしていました。しないといいものにならない、いいものにしないと実績にならないわけです。実績がないと仕事にならないからするしかない。いまだにその傾向があります。(設計を終えた段階で)「現場監理をやらないといいものになりませんよ」とこっちの方から言わないといけない。そういうと「(設計図があるのに)何で現場監理の仕事を出さなきゃいけないの?」から始まりますからね。意識改革をずっとやっている感じです。

 

Q.今回お話をいただく「神戸三宮サンキタ通り、サンキタ広場」についてもそのように取り組んでいたのですか。

これはプロポーザルでいただきました。

海外研究に裏打ちされた神戸三宮サンキタ通り、サンキタ広場の都市デザイン事例

三宮クロススクエアと「えき≈まち空間」

三ノ宮駅は、JR、阪急、地下に阪神と地下鉄が2本、ポートライナーも入れて合計6駅入っています。

元々神戸は車が非常に多い中心市街地なのです。中央の十字形の街路は「三宮クロススクエア」といって、今は東西方向の街路は10車線ありますが、5年以内に6車線まで減らして歩道を広げて、その次の5年で3車線に減らして、最後は1車線にすることになっています。荷捌きと次世代モビリティのレーンだけは通す予定です。ただ、そこまでいくかどうかわからないですけど。6車線までは必ずやります。

 

Q.アンダーパスのところとクロスのところも、全部同じですか?

そうです。いま南北方向の税関線は6車線。最近高架北側の交差点部で歩車道を改修しましたが、ここもいずれ車線を減らして、最終的にはモビリティレーン1車線だけにする構想です。これを北へまっすぐ行くと新神戸駅、下(南)へ行くと港があります。

今回携わったサンキタ広場、サンキタ通りはここ(阪急神戸三宮駅北側の高架沿い)です。

三宮クロススクエアを中心に、この周辺街区全体を「えき≈まち空間」という言い方をしています。歩行者主体に転換する予定で、エリア内の他の街路についても同じように再編して、駅前広場も全部直す構想です。そして、これらの事業の中で、サンキタ通り・サンキタ広場が第1号の整備となりました。

私は元々この「えき≈まち空間」の基本計画をプロポーザルでいただき、それ以降参画しています。サンキタ通り、サンキタ広場の設計がまた別のプロポーザルで出ましたので応募し、フェアに審査していただきました。とにかく、この事業が失敗すると「えき≈まち空間」全体の先行きが怪しくなるので結構重要でした。

 

Q.「えき≈まち空間」の全体の都市骨格の再編成も含め、サンキタ通りを変えなくてはいけない理由は何かあったのでしょうか?

タイミングです。阪急神戸三宮駅が建て替えをすることになり、合わせて阪急は、この阪急高架下商店街の店舗を全部入れ替えて、インテリアから外観まで全てやりかえるということを仕掛けました。そのタイミングに合わせて、都市側でこのサンキタ通りの整備を一緒にすることで、相乗効果が生まれることになります。

海外研究に裏打ちされた神戸三宮サンキタ通り、サンキタ広場の都市デザイン事例

整備前のサンキタ通り

整備前は、右側が阪急の高架で、歩道が狭い。一方、道路を挟んだ反対側は歩道が広く、アーケード商店街になっています。

サンキタ通りは、繁華街だけど雑踏とした、いわゆる飲み屋街でした。

そういう通り・街だからこそ、ここが変わるとインパクトが大きいわけです。

高架側の歩道を広げて、さらに歩車道段差をなくして歩きやすくしました。夜になるとタクシーが隙間なく停まっていましたが、別の場所にタクシーの乗降場を作って、タクシーを進入禁止に。一般車も進入禁止にしたので、入ってくるのは荷捌きのトラックだけです。

荷捌きだけは、日中6時から17時まで入れます。ただ通過車両が全部なくなって、タクシーもいなくなりましたから、車はかなり減りました。

海外研究に裏打ちされた神戸三宮サンキタ通り、サンキタ広場の都市デザイン事例

これはプロポーザルのときのスケッチですが、歩車道をどちらも石畳にして、段差なしにしました。歩車共存道路、シェアードスペースといいます。これが元々の断面図です。これに舗装をかけるとこんな感じになるわけです。

海外研究に裏打ちされた神戸三宮サンキタ通り、サンキタ広場の都市デザイン事例

整備前

海外研究に裏打ちされた神戸三宮サンキタ通り、サンキタ広場の都市デザイン事例

整備後

阪急が店舗を入れ替えてオープンカフェスペースもつくりたいというお話がありました。整備前の状況では圧倒的に歩道が狭いわけです。そこで、これほどの車線はいらないので、縮小して車を追い出し、歩道を広げてさらにオープンカフェができるスペースも生まれると考えました。

テーブルを出していい距離ですが、車止めや歩道灯から2mの歩行者空間を確保したら、残りを商業利用に使っていい。狭いところや広めのところといろいろあるのは、街路が一定幅じゃないからです(注記:神戸市は歩行者利便増進道路「ほこみち」制度を利用して車止め等から歩行者幅員を2m確保すれば残りの歩道空間の道路占用を特例許可している。オープンカフェの幅が場所場所によって変化しているのは、街路幅が一定でなく、かつ高架沿いに民間敷地が不規則な幅で入っているため)。

結果として、雰囲気はそうとう明るくなりました。今は通過車両がほとんどないので、車道の真ん中を歩いても全然構いません。

海外研究に裏打ちされた神戸三宮サンキタ通り、サンキタ広場の都市デザイン事例

整備前の阪急神戸三宮駅(高架改札口)

海外研究に裏打ちされた神戸三宮サンキタ通り、サンキタ広場の都市デザイン事例

整備後の阪急神戸三宮駅

阪急神戸三宮駅も、元々入り口が狭かったのですが大きく広げています。以前は入り口に段差がありましたが、これを奥の方で段差をとるように変更したので、街路からスルリとそのまま入っていけるのです。このようなものが出来上がると、最初からこうだったように見えると思うのですが、そこが狙いなんです。
私は、要するにデザインしたように見せないっていうところまで持っていきたいのです。デザイナーは誰だろうねと言わせない。ずっと昔からこうだったんじゃないのといった感じを狙っています。

断面図に照明柱がダブルで描いてあるのには意味があります。細い照明柱が林立しています。しかも歩道照明は普通、一定間隔で設置して路面照度を均一にまんべんなく明るくするのが常識ですが、ここでは、わざと間隔をまばらにして、歩車道境界からの位置も一定ではなく少しずつずらしました。そうすると、照明が「揺らぐ」んですよ。座っていれば光はそのままですけど、人が歩き始めると揺らいで見えます。ただし、言われないと分からないレベルですけれど。意外に気づかないかもしれないですけど、深層心理で効いてくるのです。

 

Q.これも小野寺さまの設計アイデアなのでしょうか?

このアイデアは、僕がよく一緒に仕事をしているインダストリアルデザイナーの南雲勝志さんからの提案です。彼とは四半世紀、一緒に仕事をしています。ライトポール型の長い灯具は、普通のデザイナーなら均一に光らせようとするところですが、南雲さんはそれだと色気がない、面白くないと言うんです。だから頭部に照明を入れて上から光を落とし、下の反射板で受ける形になっています。蛍光灯のように均一に光るのではなく、わざとムラを作っています。それがちょっと情緒的な感じを作り出しています。これは夜景ですが、オープンカフェの雰囲気を邪魔しない灯かりになっています。

海外研究に裏打ちされた神戸三宮サンキタ通り、サンキタ広場の都市デザイン事例

阪急は、店舗を全部入れ替えるにあたり、インテリアや外観を神戸市と協議しました。神戸市側でも照明柱の明るさ実験をしました。この通りは現在「EKIZO(エキゾ)神戸三宮」として結構流行っています。日本にこんな場所はあまりないですからね。

普通、日本でオープンカフェというと、自分の敷地内で壁面を下げてそこに椅子・テーブルを出すのはOKだけど、街路上つまり公共施設の上に何か物を置こうとすると、占用許可申請をしなくてはならない。

でもここは、地元にエリアマネジメント組織を作って、そこに占用許可を出しています。(注記:阪急や地元関係者に加え神戸市も入った「サンキタ実行委員会」という任意団体を作り、「ほこみち」制度を利用して占用許可を出している。この委員会は各社合意の規約で成り立っている)

沿道には、中華、ビヤバー、ワインバー、焼き鳥屋さん、エスニック、おでん屋さんとかいろいろなお店が入っています。

 

Q.通りの長さはどのぐらいでしょうか。

通りの長さは700ⅿくらいです。

幅については、車道幅員を4ⅿに縮めて、高架側の歩道が(一定ではなく変化していますが)約5.5ⅿ、全幅は15mほどです(注記:基本は15mだが一定でなく広幅員部は16.5mある)。

 

Q.夕食が始まって、例えば夜8時、9時になると、車道も人が歩いている状態になるのでしょうか?

昼間からその状態です。ランチも人気で、建物の中に入ってご飯を食べるより、オープンカフェの方が気持ちいいです。通りの人を見ながらご飯食べて、通っている人も美味しそうだなと食べている人を見ている。ヨーロッパで当たり前のことが意外に日本でできていなかったのですが、これはうまくいきました。

 

Q.このようにお考えになった経緯、背景、街づくりのコンセプトを教えてください。

冒頭で申し上げた「えき≈まち空間」の仕事に携わっていると、どの場所でどういう開発が起こるかという話が出るわけです。すると、どこを最初に整備しましょうかという中で、阪急が高架をやるぞと動き出しました。じゃあサンキタ通りを先にやろうと。我々はプランニングから入っていたので、そういう意味では、我々も半分仕掛け人みたいな感じです。

海外研究に裏打ちされた神戸三宮サンキタ通り、サンキタ広場の都市デザイン事例

整備前のサンキタ広場(当時はアモーレ広場)

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整備後のサンキタ広場

上記の写真は、整備前の阪急駅ビルとサンキタ通り、当時のアモーレ広場、今はサンキタ広場に名前が変わりました。奥へ続く街路がサンキタ通りです。

元々阪神大震災が起こる前はこういうビルでしたが、整備後は、ビルの外観を復元して、上層部を高層化しました。新旧の写真を比較すると結構印象が変わったのが分かりますね。

広場も道路も非常に狭くて使いにくかったところを、バスレーンを潰して歩道を広げて、また交差点も改良して、結構広く使いやすくなりました。

また、サンキタ広場の内部にはいろいろなオブジェがあります。

JR三ノ宮駅がちょうど高架のはす向かいにあり、今ここをJRが駅ビルを再開発しています。実は「えき≈まち空間」としてはそっちが一番メインで、サンキタ通りは北側(山側)のサブ的な場所です。サンキタ通りの開発がうまくいったので、本丸の開発がやりやすくなったかも知れないと考えています。

三宮クロススクエアの東西道路は「中央幹線」といって、ここは10車線をまず6車線に減らします。通過車両を減らしても大丈夫かどうかという社会実験をしましたので、他に交通のしわ寄せが行って、パンクするんじゃないかという心配はありません。

今、海側に大きな幹線道路を作っています。それが完成したら中央幹線の交通量も楽になるはずですが、まだ完成していません。それなのに車線つぶして大丈夫かと警察から言われて、社会実験をやってみたというわけです。こういった街づくりは、相当に手間がかかります。

以前にパリの交通当局に取材に行ったことがあって、パリって今、外周にLRTを走らせていますよね。走らせるには、路面電車ですから車線を潰すわけです。つまり車線が減るわけですので一時的に車が渋滞します。パリの交通当局に渋滞の心配はしないのかと聞いたら、いいんだと。渋滞してくれればいいし、使いにくくなっていいのだと。渋滞が嫌なら電車(LRT)に乗りましょうということになる。道路が渋滞するなら他のところを走ればいいという話になるでしょうと。大胆だなあと思いました。

海外研究に裏打ちされた神戸三宮サンキタ通り、サンキタ広場の都市デザイン事例

渋滞する車道の横を走るパリのLRT

今は発想が切り変わっていて、LRTという低床式の路面電車が、フランスのナントから始まってストラスブールで大成功して、ヨーロッパ中で走っています。車線を潰してその代わりLRTを通すことによって、自家用車を持つ利用者は、中心市街地の手前でLRTに乗り換えて公共交通で都市に入っていく。特に中心市街地の主要部は、ゾーンを作って通過車両をそもそも入れない。そこは歩いてくれという、ゾーン・システムがヨーロッパの至る所で始まったので、繁華な中心市街地には車を通さないのが当たり前になっています。

バルセロナもどんどん車線を潰して、今、緑を増やしています。潰したところを広場にして、オープンスペースにすることを当局はずっとやっています。バルセロナの都市計画課に行くと、マップが描いてあって、最後は全部緑で埋めるぐらいの勢いです。そもそもバルセロナは一時期排気ガスがすごかったようです。路上駐車と通過交通がひどくて、排気ガスがものすごいことになっていて、もうこれだとバルセロナに住めなくなるという危機感から、逆転の発想で始めたと聞いています。

 

Q.日本でも、最近は地方都市でもLRTを中心にもう1回、駅前開発しよう、中心市街地を開発しようという動きがありますよね。

やっと最近ですよね。宇都宮市も長いこと議論していて、やっと始まりました。富山市と鹿児島市は比較的早かった。日本全体としてはまだまだですが、少しずつ増えるでしょうね。

神戸の街自体は大阪に比べたらとても小さいですが、お金をかけるところにはガツンとかけて事業配分にメリハリがある印象です。今回のこの神戸三宮は、神戸の中心ですから、さすがに気合いが入っています。

 

Q.神戸三宮阪急駅ビルは、よく従来のデザインをもう一度再現しましたね。

海外研究に裏打ちされた神戸三宮サンキタ通り、サンキタ広場の都市デザイン事例

阪急の頑張りです。阪急はこの上に業務施設を入れて、さらに上に眺望の良いホテル作りました。山も海も見えていいですよね。

 

Q.ランドスケープのデザインと建築計画、周辺の建築計画のマッチングは、民間資本(阪急)が主導したのをきっかけにして、全体の街路計画が始まっているのですね。
阪急の全体の改修があって、それに伴ってオープン式の店舗を歩道に並べるという改修があった。阪急がきっかけになって、全体の街路計画が始まっているのですね。

阪急高架の対岸のアーケード側の商店街に関しては、お店自体には手つけていなくて、アーケードもそのままです。但し、私の狙いは、街路空間が変わることで沿道店舗が勝手に変わるというところにあります。経験則では、大体これだけの整備をすると、店舗側も変化していくはずです。

お洒落なお嬢さんたちが大勢やってきますから、そういう人たちに受ける商売にしないとやっていけないし、それはチャンスなわけです。実際、今どんどん店舗の入れ替えが進んでいますね。

海外研究に裏打ちされた神戸三宮サンキタ通り、サンキタ広場の都市デザイン事例

脱着式の車止めは既製品(ヨシモトポール製)

細い車止めも付いていますが、警察から必ず車をよける施設を付けるようにと言われたので付けています。

最終的には、取ってもいいんじゃないかなと思っています。これだけ交通量が減ったらもういらないです。ちゃんと抜いて蓋ができるようになっています。

 

Q.こういうところで使う外構、エクステリア資材は何でしょうか?

この場合は石ですね。中国産の御影石。割付から舗装構成から全部私の方でデザインしました。どんな割付で、どんな雰囲気で、濃いグレーと淡いグレーがそれぞれ何%って指定をして割付図を作って。加工場は中国。石材の切り出しから加工は全部向こうでやって、搬入するだけです。

担当してくれた石材メーカーさんとも付き合いが長くて、いろいろな注文聞いてくれます。

もうちょっとこういう仕上げにならない?というのをお願いすると、いろいろ対応してくれます。

 

Q.今は敷石やペイブメント関連の石材、資材は品質も上がっていますか?

いや品質はそれほど変わらないですけど、今はどんどん価格が上がってバブル期の価格に近づいてきました。最近、全ての建築資材の価格が上がっていますから、石材の単価も上がってきて、そこは今難儀なところです。

街路の施工は大林組です。阪急の建物が大林組で、その一環で外構の方も大林にやってもらうという流れです。

 

Q.なかなかこういう外構、敷石のところにYKK AP商品が関係するのはむずかしいでしょうか?

YKK APさんは敷石を扱ってらっしゃらないので、関係するとしたらベンチとかストリートファニチャーかと。

 

Q.今回、ベンチは設置されていないのでしょうか?

お店側でイスとテーブルを出すといっているので、ベンチは置きませんでした。

YKKAPさんのベンチとか、外構系のデザインはすごく洒落ていますね。置きたいのですけど値段も張ります。

 

Q.この照明柱は特注でしょうか?

特注です。これは全部、鋳鉄でできています。キャストアイアンです。

型を作って、その型が高いのですけど、でもこれは数がありますから、型代は結構分散されて償却できました。

 

Q.照明柱は、いろんなところで使われているのですか。

この場所オリジナルのデザインです。過去には、自治体の許可をもらって他の場所に型を流用させてもらったこともないではないですが、基本は一品生産です。南雲勝志さんは照明だけじゃなくて、ベンチ、車止めなどいろいろなファニチャーをデザインします。

照明は全部同じ形です。製作は(照明器具メーカーではなく)ヨシモトポールというポールメーカーです。ちなみに、東京駅前広場から丸の内に向かって行幸通りができてますが、東京駅前広場と行幸通りの照明も全部ヨシモトポールが作っていて、そのデザインも南雲さんです。ベースになる道路部の基本デザインは私です。

 

Q.サンキタ通りは木を抜いていますが、木や緑がなくなることに対する反対はなかったのでしょうか?

実は、逆だったのです。樹木が多すぎて全部抜いてほしい、から始まったのですが、さすがに何もないというのはどうかと思って、モミジバフウを4本だけ入れ直しました。どうしてもオープンカフェをやりたいっていう希望があり、また以前の木は落ち葉が大変でみんな掃除に辟易していたようです。

歩道を広げる阪急の高架側に木を植えました。阪急側は歩道を広げたいと。そうすると、オープンカフェをやりたい場所の目の前に木が立つことになるのでどうしても具合が悪い。木も一緒に動かさなきゃいけない。別のところに移植できるものは移植しましたが、何本かは切りました。新しいモミジバフウは、品種改良して横に広がらない細長い樹形のものです。

 

次回ご紹介する東京駅もそうですが、昔と違う姿だけど完成したらあれが当たり前みたいな風景になっています。

 

 

小野寺 康(おのでら やすし)
有限会社小野寺康都市設計事務所 取締役代表

小野寺 康

1962 年 北海道生まれ
1987 年 東京工業大学大学院 社会工学専攻修士課程修了
1987-93 年 アプル総合計画事務所
1993 年 小野寺康都市設計事務所設立

資格

一級建築士(第 253976 号)、技術士/建設部門: 都市および地方計画(第 32824 号)

専門分野

都市デザイン,景観設計,ランドスケープ・アーキテクチュア,地域計画

主な仕事(竣工年)

  • 日向市駅前広場(交流広場「ひむかの杜」2009 年)
  • 姫路駅北駅前広場および大手前通り(2013 年)
  • 出雲大社参道 神門通り(2016 年)
  • 女川駅前レンガみち周辺地区(2016 年)
  • 丸の内駅前広場・行幸通り(駅前広場 2018 年,行幸通り 2017 年)

受賞歴

  • 門司港レトロ地区環境整備(土木学会デザイン賞 2001 最優秀賞)
  • 日向市駅前広場(建設業協会賞/BCS 賞 2009、都市景観大賞 2014/都市空間部門大賞、土木学会デザイン 賞 2014 最優秀賞)
  • 姫路駅北駅前広場および大手前通り(グッドデザイン 2015 特別賞/地域づくりデザイン賞) 出雲大社参道 神門通り(土木学会デザイン賞 2017 最優秀賞)
  • 女川駅前レンガみち周辺地区(都市景観大賞 2018/都市空間部門大賞、アジア都市景観賞 2018、土木学 会デザイン賞 2019 最優秀賞)
  • 丸の内駅前広場・行幸通り(グッドデザイン 2018 金賞/大賞ノミネート)など

著書

  • 『広場のデザイン―「にぎわい」の都市設計 5 原則』(2014 年 彰国社)
  • 『広場』(淡交社、共著)
  • 『グラウンドスケープ宣言』(共著、2004 年 丸善)
  • 『GS 群団総力戦 新・日向市駅』(共著、2009 年 彰国社)など

著者プロフィール

事務局
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