工務店・ビルダーにとってのエクステリア取り組みの意義とは?
工務店・ビルダー、そしてリフォーム業者など、これまでエクステリア業界とは関連の薄かった建築業界において、いまエクステリア・ガーデンが注目されている。もはや注目という段階を通り越し、熱い視線を送り、さらには具体的なビジネスとして取り組もうという事例まで出始めている。
そんな工務店・ビルダー向けにYKK AP㈱は今年、エクステリア分野では初となる本格的なフォーラム(「エクステリア・フォーラム2019」)を、全国で開催している。これまで同社は窓や省エネなどのフォーラムを開催してきたが、エクステリアを本格的に訴求するのは初めての取り組みである。その狙いは、工務店・ビルダーに対して「建物と外構とのトータルコーディネート」を促すということだ。
また今年7月東京ビッグサイトで開催された「リフォーム産業フェア」では、主にサッシ店、リフォーム業者向けにエクステリア・ガーデンの50分間のセミナー(トークセッション)が行われたが、その講座はチケット発売からわずか1日で売り切れてしまった。当日は立ち見も出て、終了後には登壇したデザイナーやエクステリア店と名刺交換を行う多数のリフォーム業者であふれかえった。
工務店・ビルダー、そして内装や水まわりを中心とするリフォーム業者などにとっては新たな挑戦となるエクステリア事業であるが、手掛けるにあたり一番重要なのは、「どうしてエクステリアと建物とのトータルコーディネート(一体化設計・一体化提案)が必要なのか」という視点である。
これからの時代、勝ち残っていくために現状のままでは善しとしないという思いを抱いている工務店・ビルダーは大多数であると思われる。しかし、そのための具体的手段として、エクステリアの存在に気付くかがポイントなのである。「どうしてエクステリアを手掛けなければならないのか」-ここに気づき、納得をして初めてビジネスとして本気で取り組むことができる。
ちなみに、その〝気づき〟を与えるための機会として、来る9月5日に東京・秋葉原で前述した「エクステリア・フォーラム2019」の最終回が開催される。フォーラムは今年4月に北海道から始まり、名古屋、博多、高松、大阪、岡山と開催を続けていて、今度の東京で集大成となる。全国の工務店・ビルダーにとって、このフォーラムを聴講すれば「どうしてわが社はいま、エクステリアに着手しなければならないのか」「具体的にエクステリアに取り組む方法」といったものが必ず得られるはずだ。
建築業界を取り巻く不安な課題-少子高齢化、住宅着工戸数の減少、空き家の増加といった外的要因をクリアするには、「脱・新築依存モデル」の早期構築の必要性がある。エクステリアはそのための大きな武器であり、いろいろな宝が眠る〝宝の山〟であるということに、どれだけの工務店・ビルダーが気付くのかが実に興味深い。
著者プロフィール
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佐倉慎二郎 ㈱住宅環境社 代表取締役社長
住宅建材業界、エクステリア分野の専門誌記者・編集者25年。2006年より「月刊エクステリア・ワーク」を発行する㈱住宅環境社入社。2014年に代表取締役社長に就任。現在は住宅と外構・エクステリアを融合する「住宅と庭との一体化設計」と、非住宅分野である商業施設(コントラクト市場)における庭空間の市場開拓を探る「サードプレイス『庭・快適空間』」を発刊。ホテル、レストラン、商業施設などに向けての情報提供や、まちづくり、異業種コラボレーションに向けての提案を行っている。
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