これからの大きなムーブメントになる、都市公園の「まちのリビング」化に注目! 【東京都の公募設置管理制度の事例】

東京都内の都市公園で、次々と「まちのリビング」化が進んでいる。東京都は11月9日、都立明治公園及び都立代々木公園において、都として初めて都市公園法に基づく公募設置管理制度(PARK―PFI)※を活用し、公園周辺のまちづくりにあわせて新たな公園の整備・管理運営を行う設置等予定者を決定した。

東京都の公募設置管理制度の事例

明治公園では「Tokyo Legacy Parks」と命名し、隣接する国立競技場と調和したシンボルとなる前庭空間を作り、アウトドアショップや室内運動施設、カフェ、レストランなどの機能も設ける計画。東京建物㈱を代表として三井物産㈱、日本工営㈱、西武造園㈱、㈱読売広告社、㈱日テレ アックスオンがその事業者となる。事業のスタートは令和5年10月を予定し、以後20年間公園の整備・管理運営を行う。

代々木公園は「代々木公園STAGES」と命名し、多世代健康増進スタジオやスケートボードなどのアーバンスポーツパーク、屋内外で飲食可能なフードホールなどを計画している。東急不動産を代表として東急㈱、㈱石勝エクステリア、㈱東急コミュニティがその事業者となる。事業のスタートは令和6年10月を予定し、以後20年間公園の整備・運営を行う。

東京都の公募設置管理制度の事例

なおこの他の都内PARK―PFIの代表例としては、渋谷区の公募によって今年2月に東急㈱を代表企業として、㈱CRAZY AD、㈱日建設計で構成する「しぶきたパートナーズ」が区立北谷公園の指定管理者となり、4月より運営を開始している。公園内には「BLUE BOTTLE COFFEE」が出店しているほか、カフェスペースや展示会、ワークショップとしても利用できる屋根付き広場が出現。これによって従来は自転車やバイクの駐輪場所で使われていた北谷公園が、全天候型の賑わい創出空間として蘇った。

今後はマルシェ形式のイベント実施により、「まちのリビング」のような日常の風景の創出や、地域のお祭りである「北谷稲荷秋季例大祭」と連携した取り組みなど、地域の人・訪れる人の交流の場、憩いの場となるような催しを予定している。

※公募設置管理制度(PARK―PFI)

都市公園において飲食店、売店等の公園利用者の利便性の向上に資する公園施設(公募対象公園施設)の設置と、設置した施設から得られる収益を活用して、その周辺の園路、広場等の公園施設(特定公園施設)の整備等を一体的に行う民間事業者を公募により選定する制度。

著者プロフィール

株式会社住宅環境社
株式会社住宅環境社佐倉慎二郎
佐倉慎二郎 ㈱住宅環境社 代表取締役社長
住宅建材業界、エクステリア分野の専門誌記者・編集者25年。2006年より「月刊エクステリア・ワーク」を発行する㈱住宅環境社入社。2014年に代表取締役社長に就任。現在は住宅と外構・エクステリアを融合する「住宅と庭との一体化設計」と、非住宅分野である商業施設(コントラクト市場)における庭空間の市場開拓を探る「サードプレイス『庭・快適空間』」を発刊。ホテル、レストラン、商業施設などに向けての情報提供や、まちづくり、異業種コラボレーションに向けての提案を行っている。