テレワークでテラスが仕事場に

新型コロナウイルスの感染拡大防止策の一つとしてテレワークに切り替える企業が続出しているが、今回は、在宅勤務やコワーキング環境を整える一環として、テレワークとガーデン&エクステリアとの関係を探ってみた。

テレワークでテラスが仕事場に

郊外のテレワーク拠点「ネスティングパーク黒川」の内覧会に集まった人々

テレワークが感染症拡大の防止策として注目!

コロナ禍によってテレワークへの期待が急速に高まり、関心を集めている。テレワークとは遠隔地で仕事をする働き方の総称で、在宅勤務やサテライトオフィス、コワーキングスペースでの勤務や、モバイルワークなども含まれる。情報通信技術を活かし、テレワークに必要なネットワーク環境があれば、場所や時間の制約を受けずに新たな働き方を可能とするため、「働き方改革」の旗手としても注目されてきた。また、遠隔地とのコミュニケーションツールとして、電話やチャット、電子メール、TV電話やTV会議も有効で、最近はWeb会議を取り入れる企業も増えている。

テレワークでテラスが仕事場に

「ネスティングパーク黒川」の全景。駅前にもかかわらず、芝生広場の中に木造平屋の建物が配置され、都会では味わえないナチュラルウッディ感が若い世代に人気だ

テレワークでテラスが仕事場に

「ネスティングパーク黒川」の個室タイプのシェアオフィス

“郊外で働く”を可能にする「シェアオフィス」「コワーキングスペース」

2019年5月、神奈川県川崎市にある小田急多摩線・黒川駅前に多様な働き方を提案する「ネスティングパーク黒川」がオープンした。この施設は小田急電鉄が沿線まちづくりの視点から、駅前に商業的な賑わいと郊外ならではの多様な働き方を提案しているものだ。オープンの「まだ、都心で働きたいですか」というショッキングな広告が記憶に新しい。

周辺は小田急電鉄が郊外住宅地として開発を進めてきたエリアで、ベッドタウンとして位置付けられてきたが、川崎市がIT企業群からなる「かわさきマイコンシティ」を誘致し成功している。

テレワークをはじめ、多様な働き方が現実となる今日、東京郊外の緑豊かな「ネスティングパーク黒川」は、「シェアオフィス」「コワーキングスペース」を核に、カフェやコンビニ、ガーデンショップなどを併設し、芝生広場には「焚き火ができる囲炉裏」も設けられている。施設は木造平屋で、緑に囲まれた自然と触れ合う中で仕事ができる環境が評判となり、オープン以来、満室状態が続いている。

テレワークでテラスが仕事場に

「焚き火ができる囲炉裏」を囲むようにテラスでくつろぐ

居心地のよい“テレワーク環境”の提案を!

テレワークはライフスタイルを変える可能性を秘めており、今後はテレワーク環境の整備と、テレワークによって余裕ができた時間をいかに有意義に使うかで個人差ができてくる。スポーツやレジャー、勉強や資格取得などの自己投資、また家族とのふれあいや地域活動などによる多様な人達との接点や会話を通じて、仕事の質も高まって来る。

感染防止策として急速に広まったテレワークだが、多くの人が体験する中で、テレワークを再認識する機会にもなった。今後、テレワークがさらに普及し、“我が家のテレワークルーム”が市民権を得る時代が来ないとも限らない。ガーデン&エクステリア業界として、他に先駆けて一般のオフィスでは実現できない、自宅ならではの快適なテレワーク環境を提案していく必要があるのではないか。緑の効果と、ガーデン&エクステリアの専門性を発揮し、働き方改革の質的向上につなげてほしいと思う。

テレワークでテラスが仕事場に

多彩なガーデン家具も活用できるテレワーク環境

 

百瀬 伸夫(取材・写真・文)

モールからパークへ、これが新しい商業空間だ

まちづくりアドバイザー、商店街活性化コーディネーターほか

武蔵野美大建築学科卒 ㈱電通にて環境設計部・スペース開発部長、電通スペースメディア研究会、電通集客装置研究会を主宰、㈱ロッテ専務取締役を経て、一般社団法人IKIGAI プロジェクト理事、NPO法人顧問建築家機構理事、一般社団法人日本ガーデンセラピー協会顧問、テンポロジー未来コンソーシアム㈱代表取締役。著書に『新・集客力』、『Showroom& Exhibition Display Ⅰ・II 』他がある。

【出典】
月刊エクステリア・ワーク別冊 サードプレイス『庭・快適空間』より
厳選 サードプレイス事例
◎最新事例「サードプレイス『庭・快適空間』2021年秋」(住宅環境社刊)

モールからパークへ、これが新しい商業空間だ

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