インターネットを使ったエクステリアビジネスの会社が結構存在している。
インターネットを使ったエクステリアビジネスの会社が結構存在している。エクステリア販工店一社で、複数のネット販売会社に登録するところも結構ある。首都圏の老舗販工店では公表はしていないが、「うちは少なくても3社に登録している。理由は、受注にエネルギーを使いたくないのと、施工に集中してそこそこ食えればよい」ということだった。しかし利益率は結構厳しく、仕事の量は365日休みなくあるが、次々と現場があるので施工にはスピードが要求されるのだという。
別のエリアにある販工店は、施工スピードがとても早く、工期の厳しい現場も仕上げてくれる頼りになる存在となっている。有名ネット会社でもその会社の施工スピードは評判であり、他社の模範となっている。社長は65歳近くで、現在は息子への承継を前提に、家族一丸となって現場作業に当たっている。
ネット受注によるエクステリア施工は、現在の三位一体型エクステリア業界にとっては目の敵的な存在であり、価格破壊者として警戒すらされている存在だ。さらに「ネット業者は価格を叩くし施工もいい加減でクレームが多い」と揶揄する人もいる。しかし登録業者には地域で長年やってきた有名な優良エクステリア販工店もいる。その会社の社長に話を聞くと、「ネット販売だから、という理由で施工がいい加減ということはない。むしろ少ない利幅なので、いかに効率的に仕事をするかという訓練になる。施工スピードが上げるためにどのような工夫をするかがノウハウになって来た」と話す。
先駆的存在であるエクスショップとガーデンプラスを展開するデジアラホールディングス社は、現在の売上が74億円。年々、その売り上げは増えている。数字だけを見ると大手のエクステリア問屋並みの売上規模だ。
同社ではアルミ商材販売のエクスショップに加えて、設計・施工もトータルに受注するガーデンプラス事業にも力を入れ始めている。この背景には、これまで受注力がないゆえに施工だけを請けていた販工店が、直接、エンドユーザーからの受注活動に挑戦しようという流れが出てきているからだ。「エンドユーザー相手にたくさんの仕事をこなすことによって、コミュニケーション能力や施工スキルが上がり、自分でも受注してみようという気力が出て来たのではないか」(同社幹部)との分析だ。
当初は、単に『アルミ商材が業界流通価格よりも格安で提供できる』という面だけがセールスポイントであったネット販売。しかし、今やネット販売は『エクステリア販工店への受注支援』という意味合いが強くなってきたと言えるだろう。
著者プロフィール
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佐倉慎二郎 ㈱住宅環境社 代表取締役社長
住宅建材業界、エクステリア分野の専門誌記者・編集者25年。2006年より「月刊エクステリア・ワーク」を発行する㈱住宅環境社入社。2014年に代表取締役社長に就任。現在は住宅と外構・エクステリアを融合する「住宅と庭との一体化設計」と、非住宅分野である商業施設(コントラクト市場)における庭空間の市場開拓を探る「サードプレイス『庭・快適空間』」を発刊。ホテル、レストラン、商業施設などに向けての情報提供や、まちづくり、異業種コラボレーションに向けての提案を行っている。
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