いまこそ、地域のブロック塀診断活動を行ない、未然に防災する知恵を根づかせたい、その義務が我々の業界の使命のひとつ。
大阪を襲った地震で、ブロック塀が倒壊し、命が失われる事件が起きた。エクステリア業界ではここ数年、「知名度向上」が課題とされてきたが、こういう事件で知名度が上がってしまうことは、実にみっともないことである。
平時において、弊誌(月刊エクステリア・ワーク)では地域の安全・安心を司る存在としてのエクステリア専門店というテーマを掲げて、少なくとも、自社の商圏に存在する通学路についてのブロック塀診断を積極的に行なうべきだという主張をしてきた。それは地域に生きる企業としての社会への貢献活動であり、どんな広告宣伝よりも効果のある企業PRとなるという意味があるからだ。たとえそれが知名度向上のための〝下心〟が勝っていたとしても、地域のブロック塀診断活動は、大いに意味のあることだと強く思う。
今回の事件を受けて、業界ではブロック塀診断の活動をめぐり、かなり動きが出始めている。ブロック塀診断士という資格制度を運営している公益社団日本エクステリア建設業協会では、国をはじめ全国から問い合わせが殺到し、各支部の理事(多くはエクステリア販工店の社長)が対応に当たっている。また、各エリアからの「ブロック塀診断の方法を教えてほしい」という要請を受けて、ブロック塀診断士向けの首都圏から北陸などへブロック塀診断のために出張するベテラン診断士もいる。業界にとって少し悲しいのは、このようにブロック塀診断士の資格を持っていても、もう10年近く経過して、実際に既存のブロック塀を診断したことがない資格保有者がたくさんいた、ということなのではないか。
診断士として、この間テレビなどにも出演した関東のベテラン診断士は言う。「こうした悲しい出来事は、今回が本当に最後にしなければ、業界は終わる・・・」。かなりの危機感だ。
今からでも遅くない。今、全国のエクステリア販工店は、地元商圏のブロック塀を緊急に点検すべきである。とりわけ通学路は優先的に行なうべきだ。前述のとおり、単発ではすでに活動を始めているブロック塀診断士も存在する。そういう人たちはどんどん横で連携して情報を共有していきたい。さらには自治体や国とも連携して、安心・安全を重視するエクステリア業界を強くPRしていきべき時である。
著者プロフィール

- 佐倉慎二郎
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佐倉慎二郎 ㈱住宅環境社 代表取締役社長
住宅建材業界、エクステリア分野の専門誌記者・編集者25年。2006年より「月刊エクステリア・ワーク」を発行する㈱住宅環境社入社。2014年に代表取締役社長に就任。現在は住宅と外構・エクステリアを融合する「住宅と庭との一体化設計」と、非住宅分野である商業施設(コントラクト市場)における庭空間の市場開拓を探る「サードプレイス『庭・快適空間』」を発刊。ホテル、レストラン、商業施設などに向けての情報提供や、まちづくり、異業種コラボレーションに向けての提案を行っている。
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