「我が社の強み」に学ぶ 第2回 前編「株式会社ひまわりライフ」
外構工事全般を手がけ、「高付加価値提案」で売上実績を上げている
エクステリア専門店をご紹介するこのシリーズ。
第2回目の今回は、プールの施工ができるエクステリア専門店として知られている
兵庫県神戸市の株式会社ひまわりライフ 代表の浦﨑正勝さんに
「我が社の強み」について、お話をお聞きしました。
<会社紹介>
株式会社ひまわりライフ
代表 浦﨑正勝(うらさき まさかつ)さん
2019年で創業20年を迎える兵庫県神戸市のエクスリア専門店。
神戸市、明石市、三田市を中心に
個人宅や外構・エクステリア工事のほか、
商業施設・病院・学校などのコントラクトスペースも手掛けている。
なかでもプールのある庭づくりに関しては豊富な経験とノウハウがあり、
業界でも注目された存在。
【事業内容】
個人宅:外構工事、エクステリア、光・照明での演出、ガーデンルーム、プールリゾート、外壁塗装工事、ホームリゾート事業
その他:商業施設、病院・学校の外回り空間など
=============
株式会社ひまわりライフ 代表・浦﨑正勝さん
お客さまを幸せにする“幸”付加価値提案を追求することで、誰もが簡単に真似できない差別化ができた。
ひまわりライフの差別化は、他社がやっていないエクステリアガーデンにプールをプラスすることから始まった。
−御社といえば、なんといってもプールの施工ができる店舗として名前が知られていますが、そもそもどういったきっかけでプールを扱うようになったのでしょうか?
関東の、ある同業者さんに勧められたのがきっかけです。「これまでのエクステリアガーデンに、プールをプラスすることで、もっと視野が広がる」、そして、なにより、「他社ではやっていないことをやろうよ」という言葉に魅かれました。
それはひとつには、大型受注に結びつきやすいということもあります。プール設置を受注すると、基礎工事はもちろんシャワールームやジャグジー、音響、ライティングなどのオプション設備まで含めてかなりの金額になります。また、植栽や芝生など、庭全体のデザインをトータルで任されることも多くなります。
もうひとつは、プールがある庭での過ごし方という、新しいライフスタイルを提案することができるようになることです。プールサイドで家族や友人たちとバーベキューを楽しむ休日、夏になれば、小さいお子さんを毎日プールで遊ばせてあげることもできます。ワンちゃんの運動にもぴったりです。家族が出かけた昼下がり、一人でプールサイドのカウチに寝そべってのんびり読書する時間もいいものです。
プールがある庭の外構工事は、誰もが簡単に真似できるわけではないだけに、うまくいけばひまわりライフの大きな差別化になると考え、すぐにプール付きの展示場を作るなどの準備を始めました。
−自宅の庭にプールを設置されるような方はどんな特徴がありますか。また、そのような方々に、どのようにしてアプローチするのでしょうか?
傾向として多いのは、セカンドハウスです。都市部に既に住居があり、郊外に休日を楽しむ家としてもう一軒建てたいといったような方。あとは、若い頃に海外で生活した経験があったり旅行が趣味だったりして、プールのある生活の心地よさを知っている人も多いですね。個人宅だけではなく、学校や病院、企業、宿泊施設などからの問い合わせも多くあります。
すでに付き合いのある設計士やハウスメーカーからの依頼もありますが、そうでない場合は、個人、法人ともに、ウェブサイトを見て連絡してくることがほとんどです。実際、プールを扱い始めて最初に設置したお客様も、ウェブサイトからの問い合わせからの受注でした。
ウェブサイトには特設ページを設けて、施工事例はもちろんプールを設定した場合の維持費やメンテナンス方法なども詳しく書いてありますから、問い合わせの時点ですでに設置の意思を固めている方も多いんですね。「ちょっと話だけ聞いてみようか」という方はあんまりいらっしゃらない。そこで、まずはショールームにご案内して、プールやオプション設備を実際に見てもらうようにしています。金額が金額なので、カタログだけで話を進めるわけにはいきません。
自宅に来てもらうこともあります。庭を見てもらうのはもちろん、リビングでコーヒーをお出しして、家のなかからどんな風にプールが見えるのかを実際に体験してもらいます。暗くなって照明がついたところなどはやはり感動されますね。社員たちには「五感をくすぐる営業」と言っているんですが、やはり実体験に勝るものはないと思います。
お客さまの予想を上回る、お客さまを幸せにする提案、つまり、“幸“付加価値提案が、ビックチャンスにつながる。
同時に、それを提案するに値する自分を磨き続ける努力も必要。
−総金額はかなりのものになりますが、金額交渉などはどのようにされるのでしょうか?
基本的にはお客さんの希望を聞いて、淡々と見積りを作っていきます。予算がありそうだからとむやみに高価格のものを勧めて利益を出そうとすることはありませんね。いくら資金があっても、許せる1万円と許せない1円があります。そこを考えないで、とにかくハイスペックで価格が高いものを積み上げてもダメなんです。
じゃあ、どうすればいいか。それは、予想を上回る提案をすることです。プールサイドでくつろぎたい、楽しく過ごしたい、ワンちゃんを遊ばせたいといった要望に、思ってもいなかった方法で応える。そこに「なるほど!こうきたか」という感動が生まれるわけです。そのアイデアにお金を払ってくれるわけですね。
ビジネス用語で「高付加価値」という言葉がありますが、これはつまり「幸付加価値」だと思います。お客様を幸せにする提案をする。それがビジネスチャンスに結びつくんだと思うんです。
−感動を与えるプランを作ることができれば、誰でもプールのような高価格提案ができるというわけでしょうか?
実はそれがそうでもないんです(笑)。最終的には、やっぱり人なんだと思います。つまり、営業マンが魅力的かどうか。営業マンの見栄え、話し方、佇まい、知識……いろんなことが噛みあってはじめて、この金額でも買おうという決断してくれるのだと思います。
まったく同じプランを持って行っても、売れる営業マンと売れない営業マンがいます。高価格帯になればなるほど、その差は出てくるでしょうね。だから、営業マンは知識やプランニングの技術を付けるとともに、自分自身の魅力を磨く努力も惜しんではいけないと思います。常に自信が持てる自分でいること、そして堂々と提案すること。それは社員にもいつも言っています。
ただし、堂々としているのと態度が大きいのは違います(笑)。お客様の希望を叶えるために膨らみに膨らんだ見積りを出す時には、“それでもなんとかがんばった”感じは醸し出さないといけません。「社長!儲かっているんだから、それくらいのお金、ぽーんと出せるでしょ」という態度は、間違ってもとってはダメ。「なんとかギリギリやってみたんですけど、どうしてもこれくらいになってしまうんです。すみません」という姿勢は大切です。
夏休みのプール開放や20周年記念紹介制度、自社編集の冊子などで自社とプールをPRしています。
−ウェブサイト以外では何かされていますか?
夏休み期間には、ひまわりライフに外構やエクステリアの施工を依頼してくださったことのあるお客様に、プールを開放しています。アフターフォローを兼ねてという意味もありますが、一番の目的は、自宅にプールがある楽しさを体験していただくためです。2時間貸し切りではしゃぎ放題! ガスグリルでのバーベキューもできます。お子さまを含めて、それはもうテンションが上がりますよ。
夏休み期間以外はレンタルスペースとして貸し出しもしているんです。また、通販サイトやミュージックビデオの撮影、フォトウエディングなどに利用していただいて、多くの方にひまわりライフとプールの存在を知っていただく機会を作っています。
−やはり、実際に見て、そして体験していただくことで、心が動くわけですね。それにしても、いろいろとユニークなアイデアを考えられるんですね。
プールに限らず、いろいろな仕掛けは考えていますよ。たとえば現在、20周年を記念した「ご紹介特典」を行っているんですが、ひまわりライフをご利用いただいた方で工事終了後のお客様が他の方をご紹介いただいて契約に至った場合には、ご紹介者様ご契約者さまともに割引などの特典を差し上げるというものです。ご紹介者さまにはさらに抽選でハワイ旅行があたるチャンスもあります。紹介すればするほどお得になる。まさに、お客様を営業マンにしてしまおうというわけです。
また、ひまわりライフでは、いろいろな冊子を作っているんです。初めてご来店いただいたお客様には、会社概要やスタッフ、展示場などを紹介する冊子「YOUKOSO」、プランニング中のお客様には、ひまわりライフの施工例やお勧めのマテリアルを紹介する冊子「AREKORE」ご契約のお客様には、ひまわりライフの工事基準や専門用語の解説をする冊子「KOREKARAMO」をお渡ししています。工事終了後のお客様にも定期的に「MAGOKORO」という冊子を送ってイベント情報やセール情報をお知らせしています。
これらの冊子類は、自社編集です。内容はもちろん、それ以外のところにも、とてもこだわって作っています。内容をたくさん盛り込みたい「KOREKARAMO」以外の冊子のサイズは、定型のA4比率より横幅が20ミリ短いやや細長い形。これ、黄金比率なんです。手にしたときに、感覚的にとても良い印象が得られやすいんですよ。文字フォントにも気を使っています。
冊子の形状は、仕事で地方へ行ったときにラックにささっていたパンフが目に留まり、なぜこんな形をしているのだろうと調べたもの。文字フォントは、家族で外食していた時にメニューがとても見やすかったので取り入れたものです。何をしていても、いつもどこかで仕事のことを考えているような気がします。創業者とはそういうものなのかもしれません(笑)。
常に新しいアイデアを実行に移すことでお客様の心を掴んでいる株式会社ひまわりライフの浦﨑さん。次回は社内制度や今後の事業展開ついて伺います。
著者プロフィール
最新の投稿
- ビルガーデンエクステリア2024.10.29【後編】未来のために、あえて作り込みすぎず余白を残す設計思想「余白のデザイン」を提唱。
【設計事例:角野栄子児童文学館(魔法の文化館)】 - ビルガーデンエクステリア2024.09.25【前編】「芝生のグリーンマウンド」や、安全・安心な歩行者空間など、敷地内外の新たな繋ぎ方をランドスケープから提案
【設計事例:愛知学院大学名城公園キャンパス】 - ビルガーデンエクステリア2024.08.27【後編】物流施設に、ランドスケープというアメニティをデザイン。 「TOWN STATION」や「TOWN AVENUE」、「TOWN PARK」などで繋ぐことで、地域に根差した設計事例紹介。
- ビルガーデンエクステリア2024.07.23【前編】清水建設の設計・施工案件に関わり、ランドスケープからインテリアまで一体でデザインした設計事例紹介。