「我が社の強み」に学ぶ 第2回 後編「株式会社ひまわりライフ」

外構工事全般を手がけ、「高付加価値提案」で売上実績を上げている
エクステリア専門店をご紹介するこのシリーズ。

第2回目の今回は、プールの施工ができるエクステリア専門店として名が知られている
兵庫県神戸市の株式会社ひまわりライフ 代表の浦﨑正勝さん
「我が社の強み」について、お話をお聞きしました。

<会社紹介>

株式会社ひまわりライフ
代表 浦﨑正勝(うらさき まさかつ)さん

https://hima-wari.co.jp/

 

震災復興のシンボルの花である社名の「ひまわり」を安全のシンボルにしつつ、
さらに、リスクをとっても不動産事業のチャンスをつかむことで、前進を続けたい。

阪神淡路大震災復興のシンボルの花「ひまわり」を社名にして、コストが上がっても安全性を追求する。

−高額商品ではない一般家庭の外構工事やエクステリアの依頼も、ウェブサイトからが多いのでしょうか?

ほとんどウェブサイトですね。というより、そうなることをめざしていろいろ工夫して作っています。今ではさすがに業者さんに依頼していますが、昔は自分で作っていたので、どういう写真を掲載してどのような導線を作れば、どれくらいの反応が来るか、だいたいわかっているんです。

どこでもそうだと思いますが、最初に独立したときはお金もかけられないので、自分でチラシを作ってポスティングしていました。友人に似顔のイラストを描いてもらって、手書きで文章を書いてコンビニでコピーして。お客様との接点はそれだけだったので、内容にしても文章にしても、一生懸命考えました。そうした経験はある意味、創業者の強みだと思います。今いる社員たちは、組織の形も集客のツール類も整ったところで入社しているので、ウェブサイトがあればそれを見てお客さんが来るのは当たり前と思っているかもしれないけど、やっぱりただキレイな写真を載せているだけでは、お客様は来ません。会社のウェブサイトって、経営者の“心がまえ”が出るんですよ。今、他の会社の施工写真を見れば、その会社がどういう考えでどんなモノを作っているかがわかる。ついでに言えば、それを見てどれくらいお客さんがくるかもわかります(笑)

 

−ひまわりライフの心がまえはどういったことでしょうか?浦﨑社長が一番大切にしているものは?

安全性です。見た目がどんなに美しいデザインでも、地震や台風があった時に住んでいる人の安全が脅かされるようではダメ。たとえば、たとえば、鉄筋1本とってもエポキシ樹脂を塗装した鉄筋を使うようにする。当然コストは上がりますが、塗装されていないものを使った場合よりも、鉄筋コンクリートの劣化は明らかに遅くなる。とにかく安くできる方がいい、と言うお客様にとっては不要かもしれませんが、「それならひまわりライフではなく、他社でやってもらってもかまわない」と言いますね。

 

−安心と安全というわけですね。それは戦略としてでしょうか?

うーん、戦略というより、自分自身の経験からくるところが大きいかもしれません。もともと職人だったので、何千という単位で「現場」を知っているんです。あとは、阪神淡路大震災の経験も大きいかもしれませんね。当時はもうこの世界に入っていましたが、あの朝見た光景は今でも忘れられません。がれき撤去も経験して、安価な資材やいい加減な施工が結局どうなるかも見てきました。その後、お世話になっていた親方の元から独立したときに付けた名前が「ひまわり造園土木」。ひまわりは震災復興のシンボルの花です。

株式会社ひまわりライフの施工の一例

 

「自分の家だと思って設計する」ことが、考え抜いたプランや金額に反映されるので、結果、お客さまからも選ばれる。

−その思いは社内にどのように共有していますか?

実際のところ、これがなかなか難しいんです。若い世代はそうした経験がありませんから。よく言うのは、「自分の家だと思って設計してほしい」ということ。もし、自分の家が車通りの激しい幹線道路沿いに建っていれば、ギリギリまで庭を広げるのは慎重になるでしょう。小さいお子さんやペットがいればなおさらです。門を開けて出たところに、びゅんびゅん車が来るような環境は怖いですよね? 年配になって足が不自由なご家族がいれば、玄関から出てすぐ車に乗れるように敷地前に一時的に車を置くスペースが欲しくなりませんか? もうすぐ車を使う年齢になるご家族が居れば、階段の位置を工夫して、駐車スペースに置ける車の台数が増やしておくといいですよね? お客様の家族構成やライフスタイルは最初にヒアリングしているはず。それなのに、プランに反映されていないと感じたら、提案にストップをかけることもあります。

それから、私自身は提案後に後追い電話はかけないんです。それは「このお客様にとっては私にやってもらうのが一番幸せだ」という自信があるからです。プランも内容にしても金額にしても考えに考え抜いたものを提案しているので、当然、電話はお客様の方からかかってきます(笑)。

頻繁に電話をかけて返事を催促することでようやくもらった仕事で、クレームになる例を見ることがありますが、それはなるべくしてなったクレームだと思います。クレームを言ってくるお客様は打ち合わせ時からわかります。そういう仕事は受けないに越したことがない。お客様が施工業者を選ぶのと同じように、こちらもお客様を選んでもいい。自分の仕事に自信があればそう思えるはずです。

 

−ちなみに、御社では今、社員は何名いらっしゃるのですか?

営業が4名、設計が2名、ほかは、現場と総務がそれぞれ2人ずつの合計、10名の人員配置です。

また、ひまわりライフでは、初めてのお客様は総務が接客するんです。ヒアリングをした後、お客様の案件は誰が担当するのが適しているかを見極め、営業につなぎます。お客様がウェブサイトの施工例などを見て指名いてくれれば、もちろんその社員が担当しますよ。本当はそのほうがいいと思います。お客さんにとっても、社員にとっても。

相談スペースには、キッズスペースや子供用スリッパを用意するなど、ご家族連れのお客様が楽しく時間を過ごせるように配慮している

 

今年で創業20年、不動産事業へ参入予定。リスクを取っても掴みたいチャンスがある

−ここまでのお話を聞いていると、創業以来ずっと順調に来られたように思えますが、実際はどうだったのでしょうか。

いえいえ、そんなことはありません。前身であるひまわり造園土木を合わせると、ひまわりライフは今年で創業20年なんですが、ずっと無我夢中でもがきながらやってきたという感じです。もともとのスタートは植木職人。そこから法人化して外構工事を手掛けるようになりました。その時期が一番大変だったかな。だんだん実績を積んで、10年前くらいからはメーカーさんのコンテストで入賞するようになりました。

でも、これからはちょっと方向転換をしようと考えているんです。というのも、やっぱりメーカーさんごとに特徴があるし得意不得意があるので、トータルで揃えるのが必ずしもいいとは限りません。できればお客様の希望に合わせて門扉はA社、フェンスはB社って選んであげたい。そうなるとコンテストには出られなくなりますからね。

会社創業時には、メーカーさんや代理店さん、問屋さんとのお付き合いを通していろいろなことを学ばせていただき、その分こちらもその会社の商品を一括して仕入れることで応えようとしてきました。これからは、ひまわりライフが主導するフェーズにしていきたいと考えています。

会社ってそうやって段階を経て成長するものだと思います。段階が変わる時には今までの社員が離れていくこともあります。特に立ち上げ時の社員というのは少なからず「自分のがんばりのおかげで会社が大きくなった」という自負もありますからね。ただ、やはり会社の成長のスピードに合わせて意識を変えられない社員と一緒にやっていくのは難しいと思います。

 

−今後どのような分野に力を入れていかれたいと思っていますか?

この4月からは不動産事業に参入する予定です。土地を買って、そこにプール付きの家を建てて、一般家庭や企業に売却する。従来のような「土地に家を建てて残った部分が庭になる」という意識を変えたいんです。家と庭とカーポート、そしてプールというトータルなプランニングをすることで、各段に住まいやすくなると思います。

もちろん、今までよりもリスクは高まるでしょう。社内外からは「そこまでしなくても」という声も上がりました。でも、これまでも経験がないことを一つずつクリアして事業拡大を図って来ましたし、成功すればそれがまた、ひまわりライフの優位性になります。リスクをとっても掴みたいチャンスがあるのであれば、積極的にとることで前進し続けて行きたいと思います。